チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月7日
今日、再びンガバで2人の元僧侶が焼身自殺。内1人は死亡か?
現地と連絡を取ったダラムサラ・キルティ僧院僧侶ロプサン・イェシェとカニャク・ツェリンによれば、今日7日、現地時間午前11時半頃、ンガバの中心街で2人の若者が焼身自殺を行った。
1人はンガバ県タワ・ゴンメ、ズクリ家の息子རྔ་པ་རྫོང་མཐའ་བ་གོང་མའི་འཇུག་རིས་ཚང་གི་བུ་チュペルཆོས་འཕེལ་、19歳。もう1人はタワ・ゴンメ、ソンポ家ケルサンの息子མཐའ་བ་གོང་མའི་གསོང་པོ་ཚང་གི་སྐལ་བཟང་གི་བུ་カヤンམཁའ་དབྱངས་(他の情報によれば彼の名前はルンヤンལྷུང་ཡངས་と)、18歳。
目撃者の話によれば、彼ら2人は町の大通りで炎に包まれながらも両手を合わせたまま、チベット人が団結し中国統治を打破するために立ち上がること、及びチベットの自由と法王の長寿を願うスローガン等を叫び続けていたという。
警官等が駆けつけ2人を殴り倒し、火を消した。その後も暴行を加え、人民病院に運び込んだ。警官たちに運ばれる間にも、カヤンは拳を空に向け振り上げ何かを叫んでいたというが、言葉ははっきり聞き取れなかったという。
多くの人たちが「チュペルは30分後に亡くなった」と言っているともいう。
2人とも元キルティ僧院の僧侶である。(追記:チュペルは3月僧プンツォが焼身自殺した後、僧院を追放され還俗せざるを得なかったという<Free Tibet)
カヤンの叔父であるタシは2008年蜂起の時、当局により殺されている。
ンガバには益々武装警官等が増強され、緊張が高まっている。
VOTに現地から寄せられた電話の中であるチベット人は、涙声で、続く焼身自殺を悲しみ、ンガバの苦境を世界に訴えてほしいと訴えていた。
参照:7日付けTibet Net チベット語版http://tibet.net/tb/2011/10/07/རྔ་པ་རྫོང་ཐོག་ཏུ་ཡུལ་མ/
7日付けphayul http://p.tl/-Rym
7日付けBBC http://bbc.in/qUMULn
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)