チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年10月7日

焼身自殺を計った僧侶3人、病院で治療中/今日またンガバで2人の俗人が焼身自殺か?

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030追記/速報:今日昼頃、再びンガバの市内で2人の俗人と思われるチベット人が焼身自殺を計った、との知らせが入った。ダラムサラ・キルティの僧ツェリンに電話したが、彼も「事実として確認した。1人は死んだかも知れない。詳細不明」とのこと。(インド時間午後12時半)

1人の僧侶は拘束時保安員に強く殴られ頭に重傷。

6日付けRFA英語版http://p.tl/aGnkより。
木曜日(10月6日)時点の情報によれば、最近ンガバで焼身自殺を計った3人の僧侶は病院で厳重な警戒の下、治療を受けているという。

月曜日に焼身自殺を計ったケルサン・ワンチュクは比較的早く火を消されたので、火傷はそれほどでもないという。しかし、その際中国の保安員に頭を強く殴られた事により、頭に重傷を負っている。


今年の3月以降、彼ら3人を含め5人の僧侶が中国支配に抗議する焼身自殺を試みている。人権団体は中国当局が宗教に対する締め付けを強める中で起こったこのような焼身自殺は危険なトレンドであるという。

ダラムサラ・キルティ僧院の僧カヤック・ツェリンによれば「僧ケルサン・ワンチュクはンガバ人民病院の2階(日本でいう3階)にいる」という。

「彼のいる病棟からは他のすべての患者が移動させられ、彼1人が厳重な警戒の下で治療を受けている」

僧ツェリンによれば僧ケルサン・ワンチュク(17~18)の1人の友人が彼を介護することを許され、他にも数人が面会を許されたという。

「報告によれば、ケルサン・ワンチュクの火傷はそれほど酷くはないという。しかし、火を消された後、保安員から暴力を受け、そのために頭に深い傷を負っている」

別々の病院で

同じく僧ツェリンによれば、9月26日に焼身自殺を計った僧ロプサン・ケルサンと僧ロプサン・クンチョクは別の病院に収容されているという。

数日前、僧ロプサン・クンチョクはンガバ県のバルカムの病院に収容されているという情報が入った。彼の火傷は重度であり、また友人や親戚の誰も面会を許可されていないという。

一方、僧ロプサン・ケルサンは四川省の省都、成都の病院で回復に向かっているという。

数日前、ンガバの政府テレビ番組の中に彼の姿が映し出され、彼の火傷はひどいものではないとコメントされた。

僧ロプサン・ケルサンは3月に焼身自殺を計り死亡したキルティ僧院僧侶プンツォク(21)の弟である。

僧侶たちは禁止されているチベット国旗を振り、宗教の自由を訴え、「ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫んだ後、自らに火を放っている。

8月にはカム、タウ、ニンツォ僧院僧侶ツェワン・ノルブ(29)が北京の支チベット支配に対する抗議の焼身自殺を行い、死亡している。

緊張した状況が続く

僧ツェリンが現地から入手した情報によれば、キルティ僧院の外にいた軍隊の姿は消えたが、状況は依然緊張したままであるという。

「地元の人々は、このように軍隊の姿が僧院の前から消えたことに対し、僧侶たちへの監視が無くなったように見せかける、わなではないかと疑っている」

「キルティ僧院の中には、今も何百人もの当局役人が居座り、24時間態勢で僧侶たちを監視している。さらに僧院の4角の外に監視塔を建設中だ」

「ンガバ県全域で監視が強化されている」「幹線道路上や主な交差点にはチェックポストが設けられ住民はいちいち身分証明書を提示しなければならず、人々の日々の移動にも非常に支障をきたしている」

「ンガバの県庁舎に到る道沿いの電柱や建物の屋上には新たに監視カメラが設置された」という。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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