チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年10月3日
今日、またもンガバで一人の若い僧侶が焼身自殺
写真は焼身自殺を計ったケルサン・ワンチュク(10月4日公表)
ロンドンに本部を置くチベット人権擁護団体Free Tibetによれば、今日、現地時間午後2時頃、アムド、ンガバ市内の野菜市場の近くで、キルティ僧院僧侶ケルサン(17~18歳)がダライ・ラマ法王の写真を掲げ、「チベットには宗教の自由がない!チベットには自由がない!」と叫んだ後、自らの身体に火を放った。
警官が駆けつけ、火を消し、彼を連れ去ったという。目撃者の話によれば「彼の上半身は酷い火傷を負っていた」という。
同じキルティ僧院僧侶2人が焼身自殺を行って、今日はちょうど一週間目に当たる。
一週間前に焼身自殺を行った僧ロプサン・ケルサンと僧ロブサン・クンチョクの消息は依然不明のままである。
チベットでは、この6ヶ月の間に5人の僧侶が焼身自殺を行ったことになる。
参照:Free Tibet http://p.tl/1vVs
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追記:新たに入った情報。
Tibet Times によれば、僧侶の名前はケルサン・ワンチュクསྐལ་བཟང་དབང་ཕྱུག 17歳。ンガバ県チュゼマ郷ソルマ村の父ツルティ、母デムチョの子。
駆けつけた武装警官隊は彼の火を消した後、ひどい暴力を加え、連れ去った。
これを見ていた周囲のチベット人は声を上げ抗議したが、武装警官隊は彼らに銃を向け追い払った。
その後、ンガバ市内とキルティ僧院の警戒はさらに強められ、大勢の武装警官で街は溢れている。街に通じる道路も閉鎖されたという。
また、情報によれば、数日前キルティ僧院の周囲と街中にたくさんのチラシが張り出された。その中には「このような状況が続くならば、大勢の者たちが自らの命を投げ打って抗議する用意がある」と書かれていたという。
参照:Tibet Times チベット語版http://p.tl/dW2Q
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)