チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月27日
焼身自殺を計った時のより詳しい状況
昨日焼身抗議を行った2人の僧侶について、ダラムサラ・キルティの僧カヤック・ツェリンが新たに入った目撃者証言を今日私に話てくれた。
「2人の僧侶は朝の勤行を終えた後僧院を出た。10時半頃ンガバ中心街の交差点に着いた。そこは3月に僧プンツォが焼身自殺を行った場所だった。彼らは厚い僧衣を着ていた。
しばらく2人はそこに座り込んでいた。そしてその後、チベット国旗を2人で一緒に持ち、立ち上がった。同時にダライ・ラマのチベット帰還とチベットの自由を求めるスローガンを叫び始めた。しばらく叫び続けた後、彼らは上着を脱ぎ、道路の中に進みガソリンを身体に浴びせ掛けた。
そして火を放った。炎に包まれながら2人はなおもスローガンを叫び、道を進んだ。中国の警官が駆けつけ2人をトラックに乗せ連れ去った」
「目撃者によれば、一人は生きているようだったが、もう一人は確かにそうだったとは言えないと」
新華社電は「2人の僧侶は微かに火傷を負っただけで、今は安定した状態だ」と発表したそうだ。
そう願いたいが、本当の容態はこの先も分らないままの可能性が高い。もしも死亡していたとしてもだ。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)