チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月22日
ネパールで拘束され続けるチベット人23人を救おう!
カトマンドゥの入管に拘束され続ける亡命希望のチベット人たち。
ネパール警察は不法に越境したとしてインドへ亡命目的のチベット人23人を拘束した。彼らは依然カトマンドゥの入管事務所で拘束されたままだ。中国政府は彼らを引き渡すよう要求している。一方ICT(国際チベットキャンペーン)、TYC(チベット青年会議)、SFT(自由チベット学生連合)等亡命側の人権団体は直ちに彼ら全員をカトマンドゥのUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に引き渡すよう要求し、そのためのキャンペーンを行っている。
なお、SFTJは日本語でこのキャンペーンを行っている>http://p.tl/zbAC 是非彼らを解放するためにこの運動に参加して頂きたい。
ネパール警察は9月11日、20人のチベット人をバジュラ地区で拘束し(詳しくは9月13日付けブログhttp://p.tl/-9u9)、さらに13日にはシンドゥパルチョーク地区で3人を拘束した。
一般にネパール政府はUNHCRとの間に、インドへ亡命目的のチベット人難民を安全にインド国境まで移送するという「紳士協定Gentlemen’s Agreement」を結んでいるが、今回は中国政府の圧力から今も23人を拘束したままだ。カトマンドゥの中国大使館はネパール政府に対し、「23人をチベットに返すために国境まで移送し、中国当局に引き渡すように」という書簡を送ったという。
TYC(チベット青年会議)は「20人のティーンエイジャーを含む23人はいつ中国の手に落ちるか知れない状況だ」と危機感を現している。
SFTはネパール当局に対し、「拷問に遭う可能性のある人々を送還しないよう、ノン・ルフールマン原則(追放及び送還の禁止)に従い、国連拷問禁止条約を尊重すること」を要求している。
実際、過去ブログで「ジャミヤン少年の証言」として紹介したように>http://p.tl/BVdW越境途中に当局に拘束されたものは、未成年であっても拷問を受けているのだ。
23人の内8人は13~17歳。18~28歳が13人。40代が2人。男性18人、女性5人である。
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参考:20日付けICTリリース http://p.tl/FLvp
21日付け phayul http://p.tl/jb10
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追記:今日、23人全員が解放され、UNHCRを通じカトマンドゥの難民一時収容所に到着したというニュース(VOT,phayul)が入りました。解放キャンペーンに協力して下さった方々に深く感謝いたします。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)