チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月20日
キルティ僧院僧侶3人・強制労働キャンプ送り/当局・還俗すれば金をやると
19日付TCHRDプレスリリースhttp://p.tl/zzdy等より。
ダラムサラ、キルティ僧院僧侶カヤック・ツェリンが伝えるところによれば、9月10日頃、バルカム中級人民法院により3人のンガバ・キルティ僧院僧侶に2~3年の「再教育労働」が言い渡された。ロブサン・ダルゲ、ツェコ、ドルジェの3人は3月16日に焼身自殺したプンツォを手助けしたとして、4月12日に拘束されていた。
ロンツァン村出身16歳のドルジェには3年の再教育労働。トゥツェ郷出身のツェコ(30)とニェルマ郷出身のロブサン・ダルゲ(22)には2年半の再教育労働。ロブサン・ダルゲは焼身自殺したプンツォの兄である。
「再教育労働刑」の場合、法律的に家族を呼んだり、弁護士を付ける必要はないという。もちろんチベットでは懲役刑の場合でも家族が呼ばれたり、弁護士が付くというケースはまれだ。今回も、もちろんすべて秘密裏に判決が言い渡されたという。
ンガバ・キルティ僧院では、今月初めから2週間、恒例の休暇が実施されていた。すでにこの休暇期間は過ぎたが、僧院に戻った僧侶はほんのわずかしかいないという。一方、僧院には大勢の当局の役人が現れ僧侶の身分証明者を作ると言っている。僧院長と彼のアシスタントは度々役人たちからの嫌がらせに遭っているともいう。
又、当局は「愛国再教育」を強化すると言明し、僧侶に還俗を勧め、還俗した僧侶には1~2万元を与え、その上3~5万元の無利子貸し付けを与えるとの発表を行った。しかし、これまでのところ誰一人として、この申し出を受けて還俗した僧侶はいないという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)