チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月19日
亡命政府新大臣のポスト決定
今日、12時半の予定が1時半になったが、チベット亡命政府カシャのホールで新大臣紹介の記者会見が行われた。
大臣の名前が発表された後も、誰がどの大臣になるかは今日まで発表されていなかった。
写真右端よりデキ・チュヤン女史>情報・国際関係(外務)省、ドンチュン・ンゴドゥップ氏>保安省、ツェリン・ドゥンドゥップ氏>経済省、ロブサン・センゲ氏首相兼教育省、ペマ・チュジョル氏>宗教・文化省、ギャリ・ドルマ女史>内務省、ツェリン・ワンチュク氏>保健省の各大臣と決まった。
センゲ首相は一人一人の経歴や選考の理由等を説明した。
デキ・チュヤン女史については特に北京で一年間中国語を勉強した後、本土アムドで4年間働いた経験をかったと。彼女は英語、フランス語、中国語が堪能で、2つの修士課程を終了していること、今も2000億カナダドルの計画に関わっていること等を評価し、外務大臣に適任と。
ドンチェン・ンゴドゥップ氏は政府の仕事に長年従事し、政府の過去の資料に通じていることを評価。
ツェリン・ドゥンドゥップ氏は経済修士であり、政府の経験も長く経済省大臣据え置きは当然と。
センゲ首相は今回教育省大臣を兼任するが、これは教育の発展を第一の公約とする自分が教育改革を進めるためにまず直接責任を持ちアイデア出し実現するためだと。
ペマ・チュジョル氏は最長老であり、かつてのチベットも知る人。長年大学でチベットの歴史を教えていたし、宗教にも造詣が深いので宗教・文化大臣として適任と判断。
ドルマ・ギャリ女史は議会議長を二期務め経験豊富。特にインドの政治家との繋がりをたくさん持っており、内務大臣として適任。
最年少37歳のツェリン・ワンチュック医師は外国で医学を納め、その後インドの僻地で医療に携わったことを評価。保健省を任せたいと。
メディアからの質問に「首相選出前には僧侶やチベット内地から最近亡命して来た人も選びたいと言われていたが、今回の内閣には僧侶も新参者も選ばれていない。どうしてか?」
センゲ首相「僧侶を選ぶことも試みたが、どの宗派から選ぶか迷った。英語が堪能な適任者が今回見つからず見送った。新参者も英語ができる人が見つからず今回は選べなかった」と。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)