チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月18日
張り紙だけで無期懲役 解放後死亡のケースも
死亡した僧イェシェ・テンジン
10年の刑期を終え解放後に死亡した僧イェシェ・テンジンの話は先の9月14日のブログで報告した。http://p.tl/JaFAhttp://p.tl/JaFA 彼と共に張り紙を張り出したというだけで、無期懲役等の重い刑を受け今も獄中にある仲間たちが他にもいる。
9月15日付け、チベット亡命政府公式ウェブ、Tibet Netチベット語版 http://tibet.net/tb/2011/09/15/རྒྱ་གཞུང་གི་བཙོན་ཁང་ནང/より。
9月15日に確かな筋より寄せられた情報によれば、2000年にソク・ゾン(ナクチュの東240km、སོག་རྫོང་索県)で「チベット独立要求の張り紙」が多量に張り出された後、ソク・ツェンデン僧院སོག་ཙན་དན་དགོན་僧侶チュイン・ケドゥップཆོས་དབྱིངས་མཁས་གྲུབ་、ンガワン・ギュルメངག་དབང་འགྱུར་མེད་、テンジン・チュワンབསྟན་འཛིན་ཆོས་དབང་、イェシェ・テンジンཡེ་ཤེས་བསྟན་འཛིན་、俗人ツェリン・ラゴンཚེ་རིང་ལྷ་མགོན་、ダル・イェシェཁྲ་རུ་ཡེ་ཤེས་等が突然公安により拘束された。
彼らが拘束された後、僧房や住居が捜索され、その際独立要求の張り紙、張り紙の版木、ダライ・ラマ法王の講演テープ等が押収された。その後ナクチュ人民中級法院により僧チュイン・ケドゥップに無期懲役、僧テンジン・チュワンに懲役3年、僧ンガワン・ギュルメに懲役15年、僧イェシェ・テンジンに懲役10年、ツェリン・ラゴンに懲役15年、ダル・イェシェに懲役5年が言い渡された。
彼らは最初チベット自治区第一刑務所(ダプシ刑務所གྲྭ་བཞི་བཙོན་ཁང་)、その後チュシュル刑務所ཆུ་ཤུལ་བཙོན་ཁང་で刑期に服した。刑務所では様々な暴行を受け、食べ物も十分でなく、病気になっても治療を受けることはない。刑期を終え解放された後も、刑務所内で患った病気が直らず、しばらくして死亡するケースもある。
彼らの内、僧イェシェ・テンジンは2010年12月に10年の刑期を終え解放されたが、その後今年9月7日に自宅で死亡するという悲しい事態となった。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)