チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年9月15日
「厳しい宗教弾圧により自殺する僧侶も」とアメリカ政府報告書
アメリカ政府は9月13日付けで「2010年7~12月宗教の自由国際報告書」を発表した。各国の状況が詳しく報告されているがその中の中国編は特に長く詳しい。原文http://p.tl/fJz9
報告書の下の方にチベットの状況が詳しく報告されている。
その中、2010年9月1日時点における収監或は拘束中のチベット人政治犯/宗教犯の数は824人であり、その内の479人(約58%)は僧侶/尼僧/トゥルクであるとする。
「2008年3月以降に実施された厳しい宗教弾圧の結果、数名の僧侶が自殺に追い込まれている」と報告する。
「中国憲法でおいては全ての市民に宗教の自由が保証されることになっているが、実際には政府は他の法律や政策を理由に宗教を規制している」
「地方当局は、特に共産党員や政府職員に対し、彼らの子供たちを地元の僧院や僧院付属の学校、またはインドのチベット人学校から出させるよう度々圧力を掛けている」
「当局はダライ・ラマの名前(テンジン)や、その他ダライ・ラマの祝福を受けた名前を冠する子供の名前の登録を禁止している」
「2008年の抗議活動に参加したとして2010年末時点でも多くの僧侶や尼僧が拘束されたままである」
「拘束された者たちの多くは、撲打や長時間食べ物、水を与えられない、睡眠を許さないといった超法規的罰則を受けている」
「武装警官や公安職員により骨を折られたり重い傷害を受けるケースもある」
「目撃したという情報によれば、逮捕時や尋問時の暴力により死亡した僧侶や尼僧の遺体が家族に引き渡されずに、秘密裏に処分されることもある」
「2008年3月に四川省で拘束された尼僧の内80人が未だ行方不明のままである」等と様々な報告を紹介するが、「刑務所や囚人に関する情報を得る事は難しく、チベットの宗教的良心の囚人の数を把握したり、虐待の程度を正しく知る事は困難な状況である」とも言う。
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参照:14日付RFAhttp://p.tl/yDUH
14日付けphayul
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)