チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月24日
戦車と大砲がニンツォ僧院に向けられ、3人の僧侶が逮捕され、ダライ・ラマ法王は悲しみを表明
台湾で行われた追悼法要(写真は2枚ともTibet Timesより)
チベットの精神的指導者ダライ・ラマ法王は、29歳の僧侶ツェワン・ノルブの焼身自殺に対し、悲しみを表明された。
先の日曜日、ドイツのハンブルグで記者に対しダライ・ラマ法王は、僧ツェワン・ノルブの死のニュースを聞いて深く悲しんだと話され、中国政府の早急な政策変更の必要性を訴えられた。
29歳の僧侶ツェワン・ノルブは、8月15日、彼の故郷である東チベットのタウで、チベットの自由とダライ・ラマ法王の帰還を要求し焼身自殺した。彼の死後、ニンツォ僧院と地域全体への弾圧と厳しい規制が強化されている。
「数千人の兵士がニンツォ僧院を徹夜で監視し、僧院を望む山には戦車と大砲が配備された」と現地と連絡を取った亡命側のチベット人は報告する。
19日、21日、22日にはニンツォ僧院の僧侶3人が成都付近で当局により逮捕された。逮捕の理由は不明。ニンツォ僧院の僧侶たちに対する尋問も続けられている。
厳重な警戒態勢が引かれているにも関わらず、タウでは焼身自殺したノルブの家族の下に、大勢のチベット人がカタを持ち見舞いに訪れているという。
世界中のチベット人やサポーターが追悼集会と中国に対する抗議デモを行っている。これまでインド以外に台湾、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、スイス、ベルギーで追悼集会が行われた。日本でも8月28日、在日チベット人コミュニティー主催で追悼法要が行われる。詳しくは>http://p.tl/VfQf
参照:8月23日付けphayul.com http://p.tl/bHrP
8月23日付けTibet Times チベット語版http://p.tl/shNj
8月23日付けTCHRDリリースhttp://p.tl/rI__
その他VOTチベット語放送
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)