チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月23日
チベット人強制立ち退き
8月19日付けRFA英語版より。http://p.tl/7lYe
中国当局がチベット人住居地区の土地を政府関係の建物用地や商業目的用地として取り上げる。
あるチベット人からの報告によれば、中国当局は、シガツェの近くにあるチベット人の村を政府の建物とパレード広場にするために根こそぎにしている。今年4月より200世帯が移住させられているという。
チベット自治区シガツェ県ナムリン郷にある僧院の下にある村の住民約1000人が強制退去の対象となっている。
多くの者たちはすでに移住したが、まだ居残る者たちは8月8日に「2日以内に」立ち退くことを言い渡された。
「チベット人たちは不満を県レベルに訴えることもできず、無力感の内に……多くが涙している」という。
コロンビア大学のロビー・バーネット教授は、他のチベット地域における強制立ち退きの話について語る。「青海省青海湖地域ではホテルやゴルフコースを備えた観光地を造るために遊牧民を追いだそうとした。しかし現在、遊牧民は移住することを拒否している」と。
4月初めに、ナムリン村の人たちはツァンポ川に近い土地に移住するよう命令された。跡地に「巨大なパレード広場」と政府の建物を造るためだ。
「各家族には1万2千元(約15万円)の補償金が払われることになっていた。しかし、実際に移住した家族にはその半分の6千元しか払われなかった。しかも、与えられた敷地は農地とするにはあまりに小さ過ぎた」という。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)