チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月18日
抗議の焼身自殺を行った勇者ツェワン・ノルブは17日朝、荼毘に付された
燃え上る勇者ツェワン・ノルブ。手を合わせているようにも見える。写真SFT India.
チベット人は彼のことをརྒྱལ་གཅེས་དཔའ་བོ་ギェルツェ・パボ(愛国勇者)と呼ぶ。
ニンツォ僧院の中に安置された僧ツェワン・ノルブ氏の遺体。ダライ・ラマ法王の写真の前に安置されている。写真:SFT Indiaより。
8月17日付けチベット亡命政府オフィシャルウェブサイト(Tibet Net)チベット語版http://p.tl/ebH2が現地からの報告を伝えるところによれば、先の15日に中国政府に抗議し焼身自殺した僧ツェワン・ノルブ氏の遺体は、17日現地時間午前7時頃ニンツォ僧院のそば(追記:Tibet Timesによれば裏山で荼毘に付そうとしたが阻まれ、僧院の中でおこなったと)で荼毘に付された。
荼毘に付す間、武装警官隊が3重の輪を作りその場を囲み、ニンツォ僧院僧侶以外の者が中に入る事を阻止した。普段荼毘に付される葬儀場に送る事も許されず、僧院の近くで行う事を強要されたという。
追記:同じくTibet Times http://p.tl/qj_9によれば、僧院の周りには1万人以上のチベット人が集まり、祈りを上げた。さらに僧院にカンゼチベット族自治州の党書記Lui Dao Pingが現れ、「この僧院は分裂主義者の巣窟だ。気を付けないと僧院を閉鎖するぞ」と脅したという。
タウ県にはチベット人5万人ほどが住む。ニンツォ僧院は地域で一番古く大きな僧院。中国の侵略を受ける前には僧院には2千人の僧侶がいたという。現在は300人弱と。
僧ツェワン・ノルブ氏が一瞬映っている映像。去年の法王誕生日会の折、彼は皆にカタを配っている。
僧侶たちの歌っている歌は「ロンショ(立ち上がれ)」。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)