チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月13日
拷問を受けるチベット人拘留者たち
写真は6月6日以降カンゼでデモを行い逮捕されたチベット人。実際にはこれまでに50人ほど逮捕されたと言われている。写真はその一部。(ウーセルさんのブログよりhttp://p.tl/6sVJ)
以下、8月12日付けRFA英語版http://p.tl/mY8uより。
カム、カンゼでは6月6日以降、ダライ・ラマ法王のチベット帰還、自由チベット、政治犯の解放等を中国政府に要求する平和的抗議デモが連続して行われた。デモを行ったチベット人のほぼ全員がその場で激しい暴行とともに逮捕されている。
8月11日、その内17人が同時に解放された。しかし、多くの者たちの体には痣や傷等、拷問を受けた跡が残されていたという。
現地からの報告を受け取ったインド在住の僧侶ロブサン・ゴンポはRFAに以下のように伝えた。
「17人が8月11日の午後、カンゼ中級法院により解放された」
「ほとんどの者たちの体には激しい撲打や拷問の跡である痣や傷が残されていた……罰金は課せられなかったが、彼らの健康状態は非常に悪かった」
「中国当局が一般人の大きな歓迎集会を禁止したので、彼らは主に家族の歓迎を受けただけだった」
「2日後には地区の警察に出頭することを言い渡されていた」
さらに彼は、「カンゼには今も中国の保安要員が大勢配備され、チベット人は厳しく監視されている」と報告した。
また、別の匿名希望の現地チベット人からの報告によれば、8月8日、カンゼの状況を外地に知らせたとして拘束されていた1人のチベット人が解放された。
「彼の名前はペマ・ゴンポでギャランダ村の出身。37歳ぐらいでセタで働く商人だ。インドにカンゼの情報を流したとして7月6日に逮捕されていた」
「彼は厳しい尋問の間、激しい拷問を受けた。暴行され、天上から吊り下げられた。交互に非常に寒い部屋と熱い部屋に入れられた」
「その結果、彼は衰弱していった」
「彼の容態が悪化したので、当局は彼をセタとダルツェドの病院に送った。しかし、容態は悪くなるばかりだったので、ついに家族の元に返されることになったのだ」という。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)