チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年8月11日

新首相センゲ氏の記者会見・レセプション・牧野議員

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DSC_2299新首相ロブサン・センゲ氏と握手を交わし日本からの支援を約束する牧野聖修衆議院議員。中に立ちコーディネートするのはもちろん日本事務所代表のラクパ・ツォコ氏。この時、牧野氏は「就任後の外国訪問は是非日本から」と要請された。

8日、就任式の後、記者会見、特別ゲストのレセプションが行われ、9日には一般レセプションが行われた。今回はその簡単なレポート。


DSC_2263まず、記者会見。
センゲ氏は沢山の質問に対し、常に的確、丁寧に答えていた。その中に印象的だった話を一つだけ紹介する。
質問は良く覚えてないが、確か「ハーバードの職を辞して亡命政府の首相になると言う事は大きなチャレンジだと思うが、自信はあるか?」と聞かれた答えの中で彼は親内の苦悩に満ちた歴史を語り始めた。
私の祖母は亡命する道の半ばで息絶えた。叔父の一人は殺された。妊娠していた叔母は自殺に追い込まれ川に飛び込んだ。父は僧侶であったが、中国と戦うためにゲリラの闘士とならざるを得ず、戦いの中で負傷した。これらは私だけの物語では無く、全てのチベット人に共通の物語だ……
私はハーバードの職を辞し、アメリカを去ってインドに帰って来た。それは祖国であるチベットに帰りたいが故にだ。チベットに残っている叔父は2008年に何度か電話をよこし、チベットに帰って来ることを促した。彼は度々こう言った『お前の父親が2004年に亡くなった後、家系を継ぐ男はお前だけになったのだ。だから帰って来い』と。個人的にもチベットに帰らねばと思っているということだ」
と自信と言うより義務感を感じているという話をした。

DSC_2275夕方から特別ゲストのレセプションが行われたが、その会場となったTIPA(ドラマスクール)の広場に牧野議員が到着するとすぐに日本の各紙の記者が取り囲み取材を行った。

その途中でセンゲ氏が到着すると、牧野議員は急いで彼の下に駆け寄って握手をし、立ち話を始められた。最初の写真はその時のもの。

DSC_2302レセプションの前半はドラマスクールの歌舞団による祝福の踊りと歌だった。

その後は夕食会だった。が、私は記者さんたちと一緒にこれには参加せずに帰った。次の日、牧野議員は「夕食会ではセンゲ氏の隣に座り30分以上も話をした。日本訪問についてもよい感触を得た」と話ておられた。

1108090912582319日の一般レセプションの前半は外国から来た議員や主な支援団体代表たちのスピーチが続いた。
牧野議員もスピーチをされた。写真はその時のものだが、実は私は遅れて行ったので牧野議員の話を聞く事はできなかった。この写真も友人であるアメリカ人写真家David氏から貰ったものだ。

祝電の中にはポーランドの元大統領でありノーベル平和賞受賞者でもあるワレサ氏からのものもあった。彼はチベット人の今の状況はポーランド人がロンドンに亡命政府を作らねばならなかった時と同じだとして「ポーランド人が1989年に成し遂げたように、チベット人も将来、同胞を引き裂き自由を阻む壁を打ち壊すことができるであろう」と記していた。

DSC_2546後半は幼稚園から始まる各学校の生徒による歌と踊りのショー。

DSC_2538幼い子供たちの一生懸命な踊りを見ながら微笑むセンゲ氏。

隣に座っているのは中国人使節団を引き連れて参加した、アメリカ在住の反体制民主活動家楊建利博士。

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DSC_2656最後の締めのスピーチをするセンゲ氏、とダラムサラの応援団長を務めたロブサン・ワンゲル。この日のスーツは!?……ダラムサラのニョンパ(気違い)と呼ばれるにふさわしいド派手物。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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