チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年8月1日
雲南北部旅行その12:昆明(前編)
ギェルタン(シャングリラ、香格里拉)から昆明へは飛んで帰った。雪山と草原が消え一気にビルと喧噪の別世界に降り立つ。
26年振りの昆明を半日歩いた。
昔~しに来た時にはそのほとんどが2、3階建ての木造家屋ばかりだった。人々は男も女も人民服ばかり。目立たないために自分も人民服に人民帽を被って歩いていたものだ。
北京や西安、成都等に比べ、町で殴り合いの喧嘩を見る事も無く、気候も良くて比較的落ち着いたいい町という印象が残っていた。
今は気候以外は他の中国の大都会と変わりない物質近代都市と化している。
町の中心部で昔ながらの建物が残る唯一の一角という場所を歩いた。
こんな香ばしい建物も、中に人の気配はなく再開発の波に飲まれて壊されるのを待つばかり。
昆明市街でもっとも古い木造建築と言われる建物。古いといっても150年位前のもの。漢方薬の店「福林堂」。
これも裏側がすでに壊された木造の建物。
数年後にはこの辺の古い建物もすっかり高層建築に変わっていることであろう。歴史的町並みを保存しようという気持ちはまったくないらしい。
こんなところが「軍事管理区」!
と最初驚いたが、この辺の看板屋に注文したしろものを運ぼうとしているらしいことが判明。この手の看板の需要はさぞ多い事だろう。
道を曲がると今度はペットが道に並べられていた。かわいいトイプードル。檻の外に連れて行って欲しそうな目をしてた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)