チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年7月1日

「チベット支持勢力を押さえ込め」中国の機密文書リーク

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1106291122033O6月29日付けPhayul.com:http://goo.gl/p5w3V

「平和的発展と開かれた社会というイメージをつくり出せ。しかし実際には検閲、監視により社会に対する締め付けを強化せよ」

「チベット独立及び新疆ウイグル分裂主義者のサポーターたちが国際世論を享受する力を弱めねばならない」等、中国の高官が発言。これらはある独立した報道機関がリークした機密文書を暴く事で明らかとなった。

デンマークの日刊「Information」紙は、彼らが「中国政府高機密文書」と呼ぶ指示書の一部を公表した。(注1)
情報元を匿名とし、当メディアは、中国共産党の中で最高権力機関である中央委員会及び、党の中央宣伝部、北京市党指導部からの機密文書60ページを入手したという。


今年1月から3月半ばに掛けての日付が入ったこれらのリーク文書からは、検閲と監視を強化し、中国に対する国際世論を操作することにより、党の権力ベースを安定化しようとする政府の政策が読み取れる。疆

文書には党の情報占有維持への最大級の脅威が語られ、人々を「政治的に敏感な情報」に触れさせないために「検閲方法」を進歩させ、「非合法的配信の機会」を早めに察知することを提案している。リークされた文書の中では特に、党やその指導者に対する攻撃に対し容赦ない弾圧を加えるべき事、及び他の政治システムや報道の自由を宣揚することに反対すべきことが明記されている。

「国内外のウェブサイト上の全ての非合法で有害な情報は完全にブロック、削除されねばならない」と宣伝部の文章は語る。

資料はさらに、地方政府に対し、共産党の利点を強調するための世論誘導を行うために、チャットルームやブログの討論に参加するグループを養成せよとまで指示している。文化大革命時代を思い出させるように、リーク文章では「学校、大学、仕事場、村、居住区」に危険人物を特定することに責任を負うスパイグループを送り込めと指示している。

毛沢東の時代を彷彿させる、そのプロパガンダ・ステートメントの中では、西洋社会が、中国の成長と国際的影響力を阻止するために陰謀していると非難する。

「国内外の敵対勢力は我々に変革を迫る。彼らは様々な手段を使い我々の発展を阻害し、我々のイメージを損なわせ、我々の思想と文化を変えさせようとしている。彼らは我々に西洋的価値観と政治システムを受け入れるよう圧力を掛けている」とInformation紙は資料を引用する。

リークされた資料は中国側の劣等な国際的イメージへの懸念と共に、世界に対する外交的影響力を強めるための方策を説いている。資料は外国のメディアコラムやニュースレポートの中に中国を非難する文章が掲載されないようにするためのより厳密な方法についても説かれている。これには、在中国の外国人ジャーナリストとNGOに対する支配強化、西洋的文化商品の中国市場への流入制限、そして「体制の敵たちが外国メディアに彼らの意見を言うこと」を事前に阻止する、ということが含まれている。

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注1:元記事は
http://www.information.dk/272093
http://www.information.dk/272094
http://www.information.dk/272189

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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