チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年6月5日
キルティ僧院の僧侶たち、買収を拒否
ンガバ・キルティ僧院の近況:
6月1日、ダラムサラ・キルティ僧院の僧カニャック・ツェリンがRFAに伝えた情報。
中国当局は金で僧侶たちの支持を得ようとした。
「5月の中頃、当局は僧侶1人につき月800元の給料をやる、と発表した」
「しかし、僧侶たちは『その金は人々が血と汗で稼いだ金だ。そんなものを受け取る事は決してできない』と反発した」
「5月26日、半月分として400元を僧侶に渡した。しかし僧侶の何人かはその場でその金を散々に破りばらまいた。そして、『もしも、公金を受け取らないということが何かの法律に違反するというなら逮捕するがいい』と言った」
僧院では「愛国再教育」が続き、午前中様々な講義を聞かされ、午後には講義に関する質問表が渡され、僧侶たちはこれに答えることを求められるという。
これに対し、僧侶の中には答えを書かなかったり、求められる回答以外の事を書くものもいるという。
「教育」が続くに従い、益々僧侶たちと当局の対立は深まり、緊張が増しているという。
参照:6月1日付けRFAチベット語:http://p.tl/KUxv
6月3日付けRFA 英語版:http://p.tl/Gmqx
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)