チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年5月20日
無期限ハンスト中断
写真はTYCがハンスト中断を決定した後、ハンストメンバーの1人クンチョク・ヤンペルが25日振りに欧州議会のメンバーからフルーツジュースを飲まされる場面。この後彼は泣き崩れた。きっと止めたくなかったのだろう。(写真はRFAより)
以下、5月19日付けphayul.com: http://p.tl/wmUQ
———————————————————–
チベット・ディアスポラ社会最大の独立主張グループ(TYC・チベット青年会議)執行部員3人による無期限ハンストが19日、中止された。ドゥンドゥップ・ラダル、テンジン・ノルサン、クンチョック・ヤンペルの3人は25日間のハンストの後、病院に搬送された。
「EU使節の誠実で執拗な要望、彼らがチベット、特にンガバ・キルティ僧院問題を注視し支持し続けると確約したこと、さらにチベット内地の兄弟・姉妹からの懇願を受け、我々は本日無期限ハンガーストライキの中止を決定した」とTYCはフェースブック上に声明を発表した。
チベット内地の人々を含め、様々な人々、組織から3人の活動家の健康の衰えを考慮してハンストを中止してほしいという要請を受け取ったとTYCは明かす。
本日(19日)在インドEU代表部の担当官Ms Anne Vaughier Chatterjeeを始めとする使節団、及び様々な大使館、高等弁務官事務所の職員が現場を訪れ、執行部3人の衰弱を理由にハンストを中止するよう要請があったとTYC。
使節団はEU議会メンバー連署の書簡を手渡した。その中には人権小委員会議長Heidi Hautala、EP(欧州議会)宗教対話責任者MEP(欧州議会議員)Laszlo Tokes、EP人権・民主責任者MEP Edward McMillan-Scott、外交委員会議長MEP Gagriele Albertiniが含まれていた。
「我々欧州議会のメンバーは世界の人権を擁護することを全面的責務としている。あなた方の要求を理解し、中国政府の弾圧に対するこの平和的闘争を全面的に支持する」と書簡には書かれ、さらに「上記の観点から、我々は繰り返しチベット問題を我々の課題として常に高く掲げ続けることをここに約束する。さらに我々は地域(チベット/ンガバ)にEU代表団を派遣し、独立したジャーナリストが地域に入る事を支援することの重要性を認識する」と続けられている。
亡命政府首相サムドゥン・リンポチェ及びその後継者であるロブサン・センゲ博士も先にジャンタル・マンタルの活動家の下を訪問しTYCにハンストの中止を要請している。先週アメリカを訪問されていたチベット人のリーダー、ダライ・ラマ法王もサムドゥン・リンポチェを介し3人の活動家の健康に対する憂慮を示されていた。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)