チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年5月18日
カンゼでチベット独立、法王の帰還等を訴えるチラシを撒いたとして女性拘束
5月17日付けRFA英語版http://p.tl/vc1Pによれば、5月11日、カム、カンゼ(དཀར་མཛེས་ 甘孜チベット族自治州)市内の2カ所で数千枚のチラシが撒かれているのが見つかった。
匿名希望で現地からこの事件に関する情報を寄せた人によれば「1カ所はタシドと呼ばれるカンゼの中心広場。軍の駐屯地が近くにある。もう1カ所はクンペル・シャンと呼ばれる、人民病院と警察本部に近い場所」であるという。
このチラシを拾い、読んだ学生によれば、その中には最近亡命政府の首相にロブサン・センゲ氏が当選したことへの言及があり、彼の就任祝いをチベット内で行おうという呼びかけも行われていたという。
「地区の警察が後でそのチラシを拾い集めていた。2つの大きな袋が一杯になるほどあった。チラシはすべて印刷されていた」と情報元は言う。
容疑者拘束
「この事件があった4日後。5月15日の夜中、カンゼ警察はチメ(37)という1人のチベット人女性を拘束した。彼女はカンゼの印刷所で働いていた」と現地からもう1人の匿名希望の情報提供者は言う。
「彼女が拘束された時、中国の警官は彼女の家に押し入り、荒らした。彼女の息子である13歳の子も繰り返し尋問された」
「チメはカンゼのダルド・シャン出身で彼女と彼女の夫は長年カンゼで印刷業を営んでいた」と言う。
警察はチメを拘束するとともに家族でやっていた印刷所も没収した。
カンゼ県は西中国においてチベット人が大多数を占めるいくつかの地区の1つ。歴史的にはチベットのカム地方に属する。ここではこの数年、個人やグループによる抗議活動が盛んに行われている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)