チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年5月9日
ウーセル・ブログ「写真が語るチベット:虎やヒョウの毛皮を着た…」
この日のブログでウーセルさんは派手な虎皮をあしらったチベットチュバを着た3人のチベット人らしき男の後ろ姿を紹介し、その下にはこの写真が載せられていた中国のミニブログへの「ネット民の感想」が多めに紹介されている。
元を質せば、このチベット人がヒョウやトラの毛皮を着る・着ないの話は、2006年に南インドで行われたカーラチャクラ法要のおり、ダライ・ラマ法王が「毛やら皮やらで着飾った人々の写真を見るにつけ、恥ずかしくて生きた心地がしないよまったく」と話され、チベットから来た人々に「チベットに帰ったらそう伝えるように」と念を押した上、その後のスピーチでも何度も野生動物、稀少動物との共生を訴えたということに始まる。
この事についてはブログ「チベット式」の以下2つのエントリーを参考:http://p.tl/dT-8
http://p.tl/7lKO
この法王の悲しみとお達しは内地のチベット人に素早く知れ渡り、法王に忠誠を示す印として、毛皮好きのチベット人たちが競って、毛皮を脱ぎ捨て、さらに集団で焼き払い式を行うという事態が発生した。
これを見た、中国当局は「ダライ・ラマへの忠誠を示すために毛皮を焼くとはけしからん」として、焼き払い式を先導したチベット人を逮捕さえした。テレビなどではその後、わざとらしく、チベット人には毛皮ずくめのチュバを着させた。これは今も続いている。これがこのエントリーのバックグランド。
チベットでは、毛皮を着る・着ないが「踏み絵」状態と化しているのだ。
原文:http://p.tl/zNZH
翻訳:雲南太郎(@yuntaitai)さん
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◎写真が語るチベット:虎やヒョウの毛皮を着た……
この(冒頭の)写真は中国国産ミニブログから(5月6日8時55分)。
チベットでは今、好んで虎やヒョウの毛皮を着ようとする人はおらず、重要な接待では指導者がわざわざ漢族に毛皮を着せ、チベタンを演じさせているという。本当だとはずっと信じていなかったが、今日これをようやく目にした。しかし分からない。チベット経済の勢いを示せるのは希少動物の毛皮だけだとでも言うのだろうか?
ネット民の感想:(コメント記入者の中には漢人だけでなくチベット人もいるようだ)
無知な指導者が無知な幹部を引き連れて、みんな滑稽な道化役者だ!あいつらの共通の目標はカネだけだからな。
これはほんの一部分だよ。今、この手のやり方はずっと改善されてるけど、まだこういう無知なのが出てくるんだ。ネズミ1匹が鍋のスープを駄目にしてしまう。soまあいいよ・・・・・
思うに、民族文化の象徴を間違えてるよね。僕らにできるのは、世の人にチベット文化の深さを見てもらうことだよ。身に着けた毛皮でくくれるようなものじゃないんだからね!
ちょっと大げさだよな!1回2回じゃない、しょっちゅうやってるよ。
この3人はどっから来たんだ?動物園に送るべきだな~。
本物の皮じゃないって一目で分かる。
どうして虎や豹の毛皮を着ないと経済的な実力を示せないんだ?
街頭のパフォーマンスって感じ。
オレも懺悔すると、結婚式で着ちゃったんだよ。因果の報いか、オレらで着るヤツは多いし、やり過ぎでヨソの人のイメージを作り上げちまったな。この影響はでかいね。オレらには、「嘲笑は何も変えられんぞ!」って言う責任がある。言っとくけど、九寨溝のチベタンはまだ毛皮着てるよ……。
毛皮が本物かどうかに関係なく、この3人が深い民族文化を体現できてるのか??
?この目で見たことある。馬にも乗ってたぞ。ずいぶん外見を飾り立ててるよな。
希少な野生動物を保護するのは間違いか?今、広告は野生動物を食べるなって言ってるんじゃないか?
ハァ、毛皮を着ないってことは、チベットではもう環境意識だけの問題じゃなくなってるんだ、上の段階に移ってるんだ。
動物園から逃げ出して来たんだろ。
地方指導者の発想は1960~70年代のレベルだからな(敵が支持することすべてに反対し、敵が反対することすべてを支持する)。国の法律とか法規とか野生動物保護法なんて何の役にも立たないし、無知な法律知らずの集団なんだ。だから、こんな役人がいる地方は暗黒だよ
ああ、やっぱり見たい人がいるからだろ。
まだこんな事してるの?
どうしようもないね!
ラサにはもっといるよ……。
吐き気がする。
動物園はいらん。脱ぐなよ、4大灼熱都市(南昌、重慶、武漢、南京)に送って市中引き回しだ!
動物園送りに賛成!
妖怪
まあ見たいってだけじゃないね。チベット人が別の原因を言ってたよ……。どうしようもないね。
これどこ?ダルツェンド?
経済実力なんてもんだけじゃないな……。もっと別のものがある。
今、こんなのを着るチベット人はすごく少ない。ほかの人が着てても、かっこいいとか高価だとか思わないな。
知ってるよ、カンゼだろ、たぶん私服だな。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)