チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年5月6日
デルゲ、ザコでチベット人町長逮捕
5月1日、カム、デルゲསྡེ་དགེ་རྫོང་県ザコརྫ་ཁོག་郷タンズクཐང་འཇུག་町の町長であるチベット人ロブサン・ペルデンབློ་བཟང་དཔལ་ལྡན་(34)が逮捕された。彼は自由チベットとダライ・ラマ法王の長寿を願うポスターを張り出したという。
最初彼の自宅の近くでポスターが発見された。そこにはかれの名が記されていた。その後武装警官隊が彼の家に押し入り、同様のポスターを何枚か発見したという。
参照:The Tibet Post 英語版http://p.tl/b-8Q
RFAチベット語版http://p.tl/–dF
Tibet Times チベット語版http://p.tl/zztx
この事件、何か怪しい・・・
彼はこの町で大きな仏塔を建立する計画を推進し、最近落成法要が行われたばかり。VOTによればこの落成法要が行われた4月16日、3人の若者が「チベットに自由を!ダライ・ラマ法王に長寿を!」と叫び、逮捕された。彼らに殴り掛かった警官を止めようとした廻りの人々も大勢殴られ負傷したという。
また、3月6日には3人の若者が町の各所に「チベットには自由が必要だ」等と書かれた署名入りのチラシを張り出した。3人は依然逃亡中で、その代わりに彼らの親兄弟が拘束され、罰金を命ぜられた。http://p.tl/xnyL
2008年、ザコではザコ・ゴンサル僧院の僧侶と俗人大勢が大きなデモを行った。このとき28人が逮捕され、その内の9人は今も行方不明。また、逮捕された僧侶の内1人は拷問死、解放された5人の僧侶も拘置所内で受けた拷問の後遺症を今も引きずっているという。(上記参照記事中)
今回の町長の逮捕について、私はどうも怪しいと思う。町長が自分で「チベットの自由」を求めるポスターにサインし、家の近くに張り出すであろうか?彼は仏塔を建立した中心人物だ。嵌められた可能性もあると思う。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)