チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年4月20日
ンガバから送られて来た写真/焼身自殺した僧プンツォの葬儀写真も
写真は3月16日、ンガバ市内で撮影されたもの。(写真提供はロンドンに本部を置くfree TIBET Campaign。以下の写真も同様)
キルティ僧院の状況に関し、中国外務省の洪磊(Hong Lei)報道官は昨日(19日)「我々の理解によれば、この数日間キルティ僧院僧侶たちの生活と宗教活動はすべて平常通り行われている。社会的秩序も保たれている。僧院への物質的供給も十分足りている」と述べ、さらに「キルティ僧院と地元警察はずっと以前から合同のパトロールチームを組織している。この目的は不審な者が僧院内に侵入することを阻止するためだ。僧院側と警察の関係は常に調和的なものだ」と語った。>Reuters http://p.tl/aQyD
これに対し、これまで主に現地の状況を外部に伝えて来た、ダラムサラ・キルティ僧院の僧ツェリンは「私たちが実際に苦境の中にある現地の僧侶や市民から聞いている情報との差がはげしい。公正な国際機関が現地に入り現状を調査することを当局は認めるべきだ」と主張する。>VOT
ロンドンに本部を置くfree TIBET Campaignは今日、現地から送られて来た、僧プンツォが焼身自殺を行った3月16日当日の写真及び19日に行われた彼の葬儀の様子を伝える写真を公表した。
16日プンツォの焼身自殺を受け、行われた大規模デモの後、ンガバの中央市場に近いYing Xiong 通りを巡回する武装警官隊とこん棒を持った私服保安員。
free TIBET Campaignは「キルティ僧院内で行われている『愛国再教育』は宗教の自由に反するばかりか思想の自由を侵すものである」と主張する。
僧ツェリンによれば、僧院内ではダライ・ラマ法王を非難し、中国共産党を讃えることを強要する「愛国再教育」が続けられており、武装警官が各僧房を廻って、個別に僧侶に嫌がらせを行い、暴力も振るっているという。
僧院近くの道のそばには先週火曜日から、老人を主体とする約200人のチベット人が、僧侶が他の収容所に連れて行かれないよう監視するためにテントを張り寝泊まりを続けているという。
以下、19日に行われた僧プンツォの葬儀。葬儀はまずキルティ僧院内で行われ、その後遺体は数キロ離れた火葬場に送られた。葬儀には約3000人が参列したという。参考ウーセル・ブログ訳>http://p.tl/0vsL
3月20日、亡命チベット社会で政府の首相と議員を選ぶ選挙が行われたが、ンガバ当局はその日、レストランやネット屋に店を閉めるよう「緊急通知」を出した。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)