チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年3月15日

チベット難民たちが日本のために義援金を集めてくれている

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日本の被災地のために義援金「グチュスン(9-10-3、チベット元政治犯)の会」がイニシアティブをとり、日本の被災地に義援金を送るための街頭募金がダラムサラで始まった。

午前中、法王がティーチングを行っておられるツクラカンの前で始め、午後にはマクロードガンジの町中で行った。明日、明後日も行う予定。

ちょうど今日の午前中、ダラムサラにいた共同通信の記者さんがこれを取材して下さり、早速記事が掲載された。
その記事が以下:【東日本大震災】亡命チベット人が募金活動 インド北部ダラムサラ(共同/産経他) http://p.tl/s51Z


日本の被災地のために義援金私も最初募金箱を持ち寺の前に立っていた。ティーチングを終えてツクラカンから出てくる僧侶や町の人々は後ろに貼られた写真に驚き、「アチー!ニンジェ(何ということ、可哀想に)」と声を上げ、次から次へと募金箱にお金を入れてくれる。

日本の被災地のために義援金50ルピー札、100ルピー札、中には500ルピー札を入れる人もいる。100ルピーは日本円ではたった200円だが、この人たちの収入を考えるとこれは相当のお金なのだ。例えば、この辺の僧侶や尼僧は月に僧院から生活日常品を買うために大体300ルピーもらうだけ。たまに大きな法要があるときに臨時収入があったり、中にはお金持ちの施主がいて潤っている人もいるが、一般には月500ルピーほどしか自由になるお金はない。政府で働く人でも平均月給は5000ルピーほどだ。
日本のお金にすれば、これらの寄付は10~20倍と考えるべきだ。

日本の被災地のために義援金多くの人たちがお金を入れた後に手を合わせる。募金箱を持ってそんな人たちから寄付を貰っていると何だか、涙が出そうになる。寄付をする側だったのが、まさかいつか寄付される側になるとは思ってもいなかった。寄付される側の何とも言えない気持ちを味わうにはいい機会となった。

ちなみに写真に映っている僧侶は、私が85年にラサに行ったとき知り合った人だ。彼はそのときラサのジョカンの僧侶だった。私がジョカンを廻っているとき、彼は私を見て僧房に誘った。そして、チベットの現状を報告する手紙を密かに私に渡し、それを亡命政府に渡してくれるように頼んだ。危険を顧みない、勇敢な人だと思った。その後、計算通り、彼は公安に目を付けられ、逮捕されそうになった。そしてインドに逃げた。ダラムサラの道で再会したときには本当にびっくりした。

日本の被災地のために義援金写真右から2人目の日本の子は涙が止まらなくなっていた。
4人目も泣いてた。
その真ん中にアムドの男が立っているように見えるが彼も日本人。

日本の被災地のために義援金彼がこの義援金集めをしたいと言い出した、グチュスンの副会長ルカル・ジャンさん。彼も政治活動をしたとして何年も監獄に入っていた。グチュスンの会長さんはリンポチェで今南インドにおられる。

彼は、さらに「これからチベットの歌舞グループを集めた、チャリティーコンサートを開くというのはどうか?政府からも首相や議長を呼ぼう。きっと政府もかなりの寄付をすると思う。他の団体や僧院にも話をしてみよう」と言い出した。
私「それは有り難いが、もう気持ちだけでいいよ。いくら何でも難民からこれ以上お金貰うってわけにはいかないよ。十分みんなこうして余裕もないのに寄付してくれてる。これで十分だよ。集めるならケグドのためにやってほしい」と言ってその申し出は断った。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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