チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年3月14日

日本のために10万回般若心経が唱えられた

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ダラムサラでは、今日、朝6時過ぎより午後4時頃まで、僧侶、尼僧、俗人約1500人がツクラカンに集まり、日本の地震、津波の被災地に向け祈りを届けようと、合計10万回般若心経が唱えられた。
これは法王の発案によるもの。

非常に残念な事には、実は私はこれに参加することができなかった。
なんてどうでもいいことだが、だから今日写真をお見せすることができないのだ。


昨日、ある日本人が法王庁の人から聞いた話として、「明日法王が6時からツクラカンにお出になり日本のためにモンラム(祈祷会)を行われる」と私に伝えた。
急な話なので、本当かどうか調べようと、政府、RFA、phayulに電話して確認したが、みんなそんな話は聞かないな~という。
でも、内にいる尼さんたちは「明日法王がツクラカンに来られると聞いた」という。
やっぱりあるかもしれないと思った。
半信半疑ではあったが、もしもあった時、日本人が参加しないというのはまずいだろうと思い、今日の朝5時起きして暗い中6時前にツクラカンに向かった。
ツクラカンの本堂に上がる手前で知り合いの僧侶に会った。
彼に今日法王がいらっしゃると聞いたが?と訪ねると。
「それは聞かないな」と言う。
それから、ゲートのところにいるセキュリティーの人にも聞いた。
彼ははっきりと法王は来ないという。
何だ、間違った情報だったのか、、、と思い、上の本堂に上がらずそこから引っ返してしまったのだ。

それからも町に2度行ったがツクラカンで読経会が開かれていることには気付かなかった。

夕食を食べるとき、尼さんたちが「今日は日本のために10万回般若心経を唱えたよ」という。
「え~~!何だ、やっぱりあったのか。で、法王は来られたの?」
「法王はいらっしゃらなかった。でも朝からず~~と昼食を挟んで4時位まで唱え続けたよ」
とのこと。
計算すると、約一人70回ほど唱えたと思われる。みんなで声を合わせ、ゆっくり唱えられたという。

まるで、余談だが、昨日法王が声明の中で「日本の仏教徒に般若心経を唱えることを勧める」とおっしゃったことをツイッターで知らせた後、ある日本のお坊さんが「日本ではこんな時お経は唱えない方がいいですよ。日本じゃお経は葬式や法事の時に唱えるものと思っているから、へたに被災地なんかで唱えると、縁起が悪いと思われるのが落ちですよ」とコメントされた。

法王は日本人は同じ仏教徒だからと思い、こんな困難に遭遇したときにはお経を唱えるのがいいだろう、般若心経なら日本人にもなじみがあるし、と思われ例案されたのであろうと推測される。
日本じゃ、こんなときお経を唱えると縁起が悪いなんて考えもしなかった、という訳だ。
何とも、寂しい話ではあるが、確かにそんな風潮はあるかも知れないなと思った。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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