チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年3月12日
日本へのダライ・ラマ法王のお言葉/チベット・女性蜂起記念日
ダライ・ラマ法王庁は法王の日本の地震と津波に関するメッセージを発表した。
http://p.tl/l_4J
以下その訳
<ダライ・ラマ法王は日本で起こった地震と津波に対する哀悼の意を示された>
「ダラムサラ、2011年3月12日:日本の菅直人首相に宛てた書簡の中でダライ・ラマ法王は、昨日日本を襲った地震と津波のニュースを聞き、驚き、悲しんだことを伝えられ、亡くなられた方々に祈りを、そのご家族や周囲の方々にお悔やみの言葉を送られた。さらに、日本政府の災害に対する備えにより被害が最小限に食い止められていることに対し、政府に感謝を示された。最後に、毎日般若心経を唱えている僧として、日本の仏教徒もこの苦難に際し般若心経を唱えることがとても助けになると思うと述べられた。般若心経の読経はかけがえのない命を失った方々を(良き来世に導く事を)助け、さらにこれ以上の災害を防ぐ助けにもなる。このために般若心経を10万回唱える法会がダラムサラで行われるであろう」
明日の朝6時からダラムサラのツクラカンで法王を導師とし、日本の被災者に対する特別のモンラム(祈祷会)が開かれる予定。
———————————————————————————–
今、日本は地震、津波、原発事故ショックのただ中にあり、チベットの話など、些か不謹慎な気もするが、一応今日ダラムサラで行われたイベントに付いて以下報告する。
今日、3月12日はチベットの「女性蜂起記念日」である。
「チベット女性協会」主催によりツクラカン前でこの日を記念した集会が行われ、引き続き下ダラムサラまでのデモ行進が行われた。
1959年のこの日、ラサのポタラの前にチベット人女性数千人が中国の圧政に抗議するため集まった。これを阻止しようと共産党軍が出動し、女性数百人がその場で殺害され、1000人以上が逮捕されたという。
このような凄惨な日に「チベット女性協会」は設立されたのだ。
http://www.tibetanwomen.org/
チベットの自由のために命を捧げたチベット人女性のために黙祷を捧げる。
今日のゲスト席の中央は空席とされ、そこには2008年4月に逮捕された作家、タレント、歌手として有名なチベット人女性ジャミヤン・キの名前が記され、彼女の著書である「尋問の日記」が置かれていた。
この本は彼女の日記をまとめ、この度女性協会が英語と中国語で出版したものだ。
ジャミヤン・キについては:http://p.tl/P-Pr
その他、今日の声明の中ではツェリン・ウーセルさんに付いても言及され、今日の本当のゲストはジャミヤン・キさんとウーセルさんであると述べられた。
写真左手は女性協会の元会長であり、元大臣でもあるリンチェン・カンドさん。右手はチベットのゲリラ組織チュシガントゥックの創始者アムド・ゴンボ・タシの娘であるチュキ・アムドック・ツァンさん。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)