チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年3月6日
アムド、ンガバで2冊の発禁本に関わりチベット人4人逮捕、作家の1人は亡命
3月6日付けphayul.com
http://p.tl/Umbg
及び3月5日付けTIBET TIMES
http://p.tl/VToR
ンガバ(རྔ་པ་四川省阿バ・チベット族羌族自治州)当局は2人の女性を含む4人のチベット人を「禁止され」た「反政府的」記事を掲載した2冊の本に関係したとして逮捕。これらの本の著者である僧ゲンドゥン・ツェリン(དགེ་འདུན་ཚེ་རིང་)は最近ダラムサラまで逃れる。
ンガバ、ギュンチュ県(ཁྱུང་ཆུ་རྫོང་)ロンタ僧院(རོང་ཐ་དགོན་པ)の僧侶であり作家でもあるゲンドゥンは、当局の逮捕を逃れるため2010年2月から身を隠し、先月インドに亡命することができた。
同じロンタ僧院の僧侶ツェリン・ドゥンドゥップ(ཚེ་རིང་དོན་འགྲུབ་23)はゲンドゥンの著書である「ミクチュ( མིག་ཆུ 涙)」及び、チベット人作家がチベットの現状について記した記事をゲンドゥンが編集したもう一つの本「ソンミック(གསོན་མིག 生きた目)」に関わったとして2010年2月27日に逮捕された。
チベット人作家ツェリン・テンジン(ཚེ་རིང་བསྟན་འཛིན་)も「ソンミック」の中に「チェルン・トゥキ・ドゥプ(བྱེ་རླུང་ཁྲོད་ཀྱི་ངུ་འབོད 砂嵐の中からの叫び)」という記事を書いたとして2011年1月3日、西宁のインターネットカフェ内で逮捕された。テンジンはンガバ、ゾギェ県シェルテン郷(མཛོད་དགེ་རྫོང་ཤེར་ཕྲེང་སྡེ་བ་)出身。幼いときに僧侶となりペユル僧院(དཔལ་ཡུལ་དགོན་ཆེན་)に所属していた。以前より様々な記事を発表していたという。2人とも現在バルカム(འབར་ཁམས་)県の拘置所に収監されている。
当局はこれらの本を印刷したパンディッタ印刷所(པཎྜིཏ་དཔར་སྒྲིགས་ལྟེ་གནས)のオーナーと従業員2人も拘束した。従業員であるペマ・ツォ(པདྨ་མཚོ་女性17)は2010年2月26日に、ヤンチェン・キ(དབྱངས་ཅན་སྐྱིད་女性30)は2010年3月30日に拘束された。現在ペマはバルカムの拘置所、ヤンチェンはンガバの拘置所に収監されている。印刷所のオーナーは一旦拘束されたが、後解放されたという。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)