チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年2月27日

何清漣「偉大なバーチャル作品ー2.20ジャスミン革命」

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ジャスミン集会今、中国では再び「ジャスミン集会/両会」の呼びかけ時間が迫っている。

チベットのラサのジョカン前広場も指定された27都市の中に入っている。20日には含まれず、一旦加えられるも外され、また最終的に加えられたという迷っている風な経緯が認められる。

昨日のRFAチベット語版にはこの集会に付いての記事が掲載されているが、ラサが含まれていることについての言及はない。

今日、一体どういう動きになるかはまた後にお知らせする、かもしれないとして、以下に、この中国版「ジャスミン革命」について中国人の有名評論家がVOAのウェブに発表したコラムを紹介する。

これは昨日のツイッター上で@tkucminyaさんが翻訳・掲載して下さっていたものだ。

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何清遊何清漣氏「偉大なバーチャル作品ー2.20ジャスミン革命」

(ジャスミンて国内の民主派なの海外なの、それとも釣りだったの?)この問題についての私の見方は全部ここに書いた。

原文http://bit.ly/gZQISl(22日発表)
翻訳@tkucminyaさん

2月20日のこの日、中国人の未来がどのような形になろうともこの日は、以下に述べるいくつかの点で中国の歴史に記されるべきである。

第一にこの日、中国にこれまでに聞いた事の無い”革命”が発生した。それは”1つのツィットが引き起こしたジャスミン革命”と名付けたい。

中国語ツィット圏の少なからぬ人々がある程度参加者だった。
或はこのニュースを伝え関連した意見を述べるなど、そのマウスがこの”革命”を発酵させる道具となったのである。20日以前にわたしはこれが地下から突然火を噴いた偉大なバーチャルリアリティの作品でパフォーマンス芸術に属するものだ、と言った。

私が調べた最初のニュース源は、@mimitree0 秘密樹穴というツイ友による2月17日のツィットだった。「中国のジャスミン革命第一回記念日は11年2月20日午後二時全国の大都市で。集合地点は前日に博讯新闻ネットで公表する。もし状況によって通知できないときには、各自は街の大広場へ」という内容だった。

このニュースを自由アジア放送局は「中東デモ鎮圧に注目、ネットでは中国ジャスミン革命の日が決定」と報道した。続いて、博讯がこのニュースを流し”中国ジャスミン集合地点”が一日のうち、瞬く間に広まって行った。また無名の作者がジャスミン地図をグーグル地図でつくり、またネットでスローガンが生まれた。それは「我々は飯が食いたい、仕事がしたい、家が欲しい、公正が欲しい、正義が欲しい、一党独裁を終わらせよう、報道の自由を」というものだった。こうして半ば実在半ばバーチャルのジャスミン革命は発酵成熟を遂げて行ったのだった。

フェイスブックとツィッターなどのマイクロブログは、イランの選挙やエジプト革命で巨大な作用を起こしたが、この時世界は「いつ中国の番になるか」を注目していただけにこれを無視するわけにはいかなかった。BBCやVOAも次々にこのニュースを報じ、APもキャリー。2.20ジャスミンの世論準備はかくて一歩一歩、クライマックスに向けて完成されていったのだった。

第二に中共のジャスミンに対する体制防衛は過度のあまり、政府内の極度な弱みをさらけ出してしまった。中国語ツィット圏ではこのニュースにツイ友達が半信半疑で、皆がパフォーマンスだとおもっていたのだが、中国政府が自ら大々的に登場して、このバーチャルパフォーマンス芸術を完成させてしまった。

この十年来、中国では毎年群衆性の事件が10万件以上起きており、民衆の如何なる合理的な要求も「社会不安定要因」として処理されてきた。その費用は五千億元を超える。所謂治安維持警察の殺傷力は軍隊に匹敵し、秩序維持はとっくに「過剰体制防衛」になっている。各地の「不穏要素」つまり、上訴難民、人権派弁護士、関係人士、オピニオンリーダーはすべて公安局の監視下にある。ネット上の噂が20日に全国13都市でジャスミン革命が出現、と伝わったとき、中国各地の秩序安定機関は緊急出動し”お茶に招待”したりして上述の人士を足止めした。また地方教育部門を通じ各高校に学生を外出させるな、と。軍隊にも’ジャスミンテロ’に備えよと連絡したのだった。

20日が来ると、全国の大都市における集会地点はすべて警察、私服、パトカーが占領し、その盛況ぶりはAP、博讯、BBC、VOAなどメディアの報道でもわかった。当局が恐慌を来した事の一例は「防衛」に走った都市は予告された13大都市だけでなく、名簿に無い、例えば青海や西寧などにも及んだのだった。

中国当局は古くからの成語である「草木がみな兵にみえ、水鳥の羽音に脅えた」。またバーチャル予言を現実に変えた。少なくとも海外のメディアはそう認め香港や台湾では「中国ジャスミン支持」の標語も。

第三には、2.20ジャスミン革命は中国当局の極めて脆い面を見せたと同時に、少なからぬ大陸人がそれを信じたいとおもって、’野次馬’になるために現場に赴いたことだ。彼らの言葉によっても現場の状況によってはいつでも野次馬から参加者になる用意があった。この点では外国人記者の見方と私は異なる見方をする。一部の外人記者は北京の街頭では警察と報道陣以外、誰もジャスミンに関心はなかった、と報じたのだ。

最後に、私は「誰がこのジャスミン革命を始めたか」の問題に戻ろう。目下いくつかの考えがある。ひとつは五毛(政府の手先)によって「釣り」の為に、という説。当局がこれで逮捕して威嚇するためにこの芝居を打ちどのぐらいの人が顔を出すか知ろうとした、というもの。

仔細に考えてみたが、目下の火勢をみるに、当局はこのような「のろしを上げて諸候の忠誠度を見る」がごとき火遊びは元手が掛かりすぎるし、かつ危険すぎる、とおもう。

この「元手」というのは「社会安定費」の増加だけでなく、体制内の信用が傷つくことも含み、終日、「安定」に駆り出される部門を無駄に疲れさせる。まして当局がたった一本のツィットの「革命」でこんなに駆け回る様子をみれば、以後、誰だって簡単にやれるわけで、当局がこの芝居をしたとしたら大バカであろう。

これから「俺が革命組織者だった」などという輩が現れても私は信じない。これは一人の人間が完成させられることではないから。

スジの通った解釈としては;北ア中東の革命の第四の波で人々が中国でも、と期待していたとき一人の独創的なツイ友がニュースを流したのが山頂から小石を落としたようなもので、この小石がゴロゴロ転がって落ちて行くときに様々な力が加わって最初に述べたようなことになり、最後にひとつの事件が成立した、と。この事件の中で、革命的な側はネット世界で力を発揮し、革命される側、中共は現実のなかでの主演俳優だった。

あるツイ友が総括;「おもうにこの所謂国内のジャスミン革命はネットが唱え、党中央がそれに応えてリードし、各級の安定部隊が頑張って参加し、群衆が観客となった現代民主主義革命だ」

この度の2.20ジャスミン革命が世にもたらした最大の元気は;人民が政府を怖れるのではなく、政府が人民を怖れている。

中国の大地はいまいつでも火を吹く状態になっており、如何なる一角から突然火が噴き出しても野を焼き尽くす大火になりうるのだ。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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