チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年2月21日

中国版ジャスミン革命

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13055cc1.jpg最近はとにかく連日アラブ諸国の革命ドミノ関連のニュースが沸き立っていて、東の方の話題は相対的に小さくなりがちだ。アラブ諸国の中では今リビアがもっとも酷い。リビアやイラン、本当に倒されるべき独裁政権は弾圧も激しく、市民蜂起は命がけとなる。以下、同じく恐怖独裁政権が続く中国の話。
ちょっとニュースというには遅過ぎるので気が引けるが、一応報告しておく。

「中国版ジャスミン革命」

土曜日、アメリカにベースを置くニュースサイト・博訊網から「2月20日に中国の各都市で「茉莉花革命」(ジャスミン革命)集会を開こう」という呼びかけが行われた。

以下、少々長いが、その呼びかけ文の日本語訳(訳はYinguoさん)を紹介する。

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2011年2月20日午後2時、各大都市での中国「茉莉花革命」集会場所



(編集者注記:本稿は匿名の投稿。博訊網は以前にも説明しているが、茉莉花に関する活動の通知、ニュース、組織者は本サイトとは連絡をとっていない。本サイトは活動の背景を確認できず、また参加もしていない)



あなたがメラミン汚染粉ミルクによる結石赤ちゃんの保護者だろうが、強制土地収用の対象者だろうが、シェアハウスの住民だろうが、復員軍人・転職軍人だろう が、私立学校の教師だろうが、銀行から一時金をわたされて解雇された従業員だろうが、失業者だろうが、あるいは陳情者だろうがかまわない。



あなたが「銭雲会事件」の結論に不満がある人だろうが、誰かが「僕の父親は李剛だよ!」というのが嫌いだろうが、「社会的公正には理性的に向き合うべき」と要求されるのが嫌いだろうが、あるいは「俳優王」温家宝のショーが嫌いだろうともかまわない。



あなたは零八憲章の署名者だろうが、法輪功の修練者だろうが、共産党員だろうが、民主党派人士だろうが、いやそれどころかあなたがたんなる野次馬であろうともかまわない。



今、あなたもわたしも中国人であり、未来にまだ夢を抱く中国人である限り、自分たちの未来に責任を負わなければならない。私たちの子孫の未来に責任を負わなければならない。

私たちはただ指定された場所に行くだけでいい。遠くから眺め黙々とついていき、もし状況がそうなった時に勇敢にもあなたのスローガンを叫ぶだけでいい。

あるいは、その瞬間から歴史が変わり始める。

一緒に行く者たちはすべて兄弟姉妹だ。お互いに助け合って欲しい。もし集会に参加した人々が、正しくない扱いを受けた時にも最大限の忍耐を発揮して欲しい。 かたわらにいる人はすぐに助けて上げて欲しい。集会が終わった時にはゴミを残さないようにしよう。

中国人は高い素養を持っているのだ。民主と自由を求める 受験を備えているのだ。

もし今回集会が成功しなかった都市では、毎週日曜日の午後2時に訪問を続けよう。継続こそが勝利だ!




統一スローガン:

私たちには糧が必要だ。
私たちには仕事が必要だ。
私たちには住みかが必要だ。

私たちには公平が必要だ。
私たちには正義が必要だ。

個人財産権を保障せよ、
司法の独立を維持せよ、

政治改革を開始せよ、
一党独裁を終わらせよ
、メディア規制を解放せよ
、ニュースの自由を保障せよ

、自由万歳
民主万歳




場所

北京・王府井のマクドナルド入り口

上海・人民広場の映画館・和平影都入り口

天津・鼓楼の下
南京・鼓楼広場のデパート・秀水街百貨入り口

西安・北大街カルフール入り口

成都・天府広場の毛沢東主席像下
長沙・五一広場のデパート・新大新大厦入り口

杭州・武林広場のデパート・杭州百貨大楼入り口

広州・人民公園のスターバックス入り口

瀋陽・南京北街のケンタッキー入り口

長春・文化広場西民主大街のスーパー・快楽購超市入り口

ハルビン・映画館ハルビン電影院入り口

武漢:解放大道世貿広場のマクドナルド入り口


一覧にない都市では、各自都市中央の広場に集まって欲しい。


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なかなか悪くはない呼びかけのように思えるが、とにかく誰が発信したのか分らず、すぐに「本気の呼びかけなのか?」「反対派逮捕のための釣りではないか?」などという憶測がツイッターなどで飛び交った。
それでも、これを察知した中国当局はすぐに、あらゆる手をつくしてネットでこの情報が広がるのを阻止しようとした。ではあるが、これはいつものイタチごっこで情報は瞬く間にかなり広がったようだ。

その内「党内の人間が中国のジャスミン革命集会にアドバイス」と言うのまで現れた。http://yinguo.tumblr.com/post/3379081545 これは面白いのでまだ読んでない人は読んで見てほしい。

日本人の反応を見てると、自称中国通の人たちは概ね「中国ではアラブ諸国のような革命は起こりっこない」というしらけた意見を吐く人がめだった。その他「煽ってる人は中国を支那とか呼んでる人。中国などどうなってもいいと思ってる無責任な人だ」とか言う日本五毛党から、「中国人頑張って革命を起こしてくれ!」と願う(煽る)改革派まで色々。

で、蓋を開けてみると、各都市、とにかく目立ったのは、警察と報道関係者ばかり。
当局は余程、ビビったのか、暇なのか、唯の冗談かも知れない情報に対し、予告のあった都市だけでなくチベット、ウイグルの中小都市まで至る所に大勢の保安要員を出動させた。
それどころか、前もってこれまでに目を付けていた民主活動家などを拘束したり、自宅軟禁状態にした。その数は香港の民主化組織によれば1000人に及ぶという。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110220-OYT1T00495.htm

一番人が集まったのはやはり北京のマクドナルド前だったらしい。
写真:https://picasaweb.google.com/wmr89502270/kkqEpB#

動画でお勧めは以下の「茉莉花革命新聞報導」
http://www.youtube.com/watch?v=PnkbercdUaM&feature=youtu.be&a

この中、人々が集まっている最中に、どこからか空?から白い花束が降り注ぐ場面がある。掃除のおばさんが、これをほうきでかき集め箱に入れた。そこに一人の若いお兄ちゃんが現れ、その箱(ゴミ箱?)から数本の花を拾い、手に持って立ち去ろうとする。これを目ざとく見つけた私服警官が彼を荒々しくどこかに連れて行こうとする。しかし、周りからカメラを持った報道関係者のような人たちが大勢集まったので、警察もまずいと思ったのか、すぐに彼を開放。彼はその後、報道関係者に囲まれ質問を受ける。
彼「何で、花を拾っちゃいけないんだ!ひでえじゃないか!」と(言ったらしい?)
中国じゃ、(この日白い)花を拾っちゃいけなかったのだ。それだけじゃない、ここに近づく人は、「そこに座るな!」とか、「立ち止まるな!」とか言われたそうだ。

その内マクドナルド前には円形上の空間が出現し、人々(警官、報道関係者、野次馬、半分本気の人等)が輪を作って待機状態に。
誰か面白い大道芸をやってくれないかな~と待ってる風。結局派手に声を上げる人は現れず、次第に解散とあいなった。

ま、今回はこんなもんだろうと予想通りと言う所か?
今回は当局とメディアの反応ぶりがめだったようだ。
警察は様子を見に来ていた日本の総領事館員まで拘束してしまい、後で日本政府に謝りを入れるというハプニングまで起こった。http://www.asahi.com/international/update/0221/TKY201102200553.html?ref=reca

中国に自由がないということは、この日の出来事を見ても明らかな事実。政府だって、いつ市民革命が起こってもおかしくないとちゃんと認識している。胡主席自身、中国では「社会の矛盾が目立ち、(格差など)不均衡が突出している」と指摘するありさま。http://sankei.jp.msn.com/world/news/110219/chn11021921390004-n1.htm

現在中国では1%の富裕世帯に全国の富の40・4%が集中しているという、とんでもない共産主義国歌。
さらに、毎年8万から10万件の当局に反対する群衆事件が起きているのだ。
革命の条件はすでに十分そろっている。

それでも、私はバブルがはじけるまでは本気の全面蜂起は起きないと思っているが、いずれ起きるだろうことは間違いないと、心待ちにしている。

だが、利権を握っている軍隊が民衆に付かない限り、革命は非常な困難を伴うであろう。
参考:http://sankei.jp.msn.com/world/news/110220/chn11022020260008-n1.htm
http://www.epochtimes.jp/jp/2011/02/html/d56243.html

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最後に中国じゃないが、以下の署名に是非ご協力を!
リビアに虐殺を止めることを要請する署名:
国連に救済を求めるon line署名 http://bit.ly/hFA6ka

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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