チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年2月12日

カルマパのスパイ嫌疑晴れる/シェルテンの歌「天界の白い鳥(=法王)」

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カルマパ・ケンノーダラムサラのあるヒマチャル・プラデッシュ州の主席秘書官であるRajwant Sandhuは金曜日、the Press Trust of India (PTI)に対し「カルマパの僧院で発見された現金はすべて布施であると認める。カルマパは土地売買についても、金銭の出入りについても一切関わりがないことも認める」と発言。

さらに「カルマパは宗教的グルであり、世界中に信者を持っている。我々は彼らの活動に敬意を示し、宗教的事柄には一切関与しない。政府は彼に立ち去れなどという意向は全く持っていない」と語った。

このニュースはAP伝としてワシントン・ポストにも掲載されている。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/02/11/AR2011021102048.html
その他参照は
phayul:http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=29099&article=HP+govt.+gives+clean+chit+to+Karmapa%3a+report
カルマパ事務所:http://www.kagyuoffice.org/#Feb11Statement

ま、当たり前のような話だが、インド政府が公式にカルマパ・スパイ説を否定したのはよろしいことだ。

で、何で、これで「スパイ説」が晴れたことになるの?なんて理解できない人にはですね、、、今回スパイ説が起こった始まりはギュトゥ僧院から中国元が出て来たことに始まって、これを警察とインドメディアが「中国政府からのスパイ活動資金」ではないかとバカな疑いをもったことから始まるのですから、これがただの「布施」と分った時点で、「スパイ説」も(一応)終わる訳。

土地に関する嫌疑も近いうちに晴れる事でしょう。
日本でも「カルマパが数百カ所もの土地を他人名義で購入している」なんてデマが飛び交ってるが、スパイ嫌疑と共に、今までのデマ報道を謝罪して欲しい位だ。ま、インドメディアを引用しただけだと、言訳するであろうが。

州知事も先に「チベット人は76カ所も他人名義で土地を購入している。今調査中だ」と脅しのようなことを言ったが、これはこの州全体の話だ。これは確かにあり得る。他に土地を買う方法がないのだし。で、この発言からしても、カルマパ1人が数百カ所買ってるというのが嘘と分る。
カルマパ側は土地購入についても、基金として正式に申請してあると主張している。

外国為替法違反に関しては、きっと罰金ということになるかもしれない。
もっとも、これも以前から申請しているわけで、インド側の怠慢、或は根拠のない猜疑心からこれまで許可が下りていないだけだ。
何れ、政府が認めるように、全てカルマパ本人とは関係ないわけだ。

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歌った歌が原因で囚われていたタシ・ドゥンドゥップが解放されたというニュースは最近の嬉しいニュースだった。
昨夜はエジプト革命?成功と、カルマパのスパイ嫌疑晴れるという嬉しいニュースが重なった。

タハリール広場で歓喜に湧くエジプトの群衆を見ていると、つい、ああ、いつか中国も、、、チベットも、、、と思わずにはいられなかった。

と、今度はアルジェリアで始まったとか。アルジェリアには若い頃通訳の仕事で1年半ほどいたので思い出深い国。どんどん連鎖反応が続いてほしい。東の方まで。

———————-

以下、シェルテンの歌を1つ訳したので歌と共に紹介。
歌詞は明らかにダライ・ラマ法王を歌ったものだし、以下のYoutube版には法王がそのまま出ている。さすがに、これは外国で編集されたバージョンと思う。内地で発表されたバージョンには法王は出ていない。

もちろん、彼もすでに中国当局から、分裂主義歌手としてマークされている。それでも、今も次々と暗に法王を讃える歌やチベット人としてのアイデンティティーを高めるための歌を歌い続けている。顔は草なぎ度が高いが、非常に勇敢な歌手である。

シェルテン<天界の白い鳥>
http://www.youtube.com/watch?v=7PqpK2rbajs

怒りの目 向けられしも
微笑み 向けかえす
地球の福利の根本
あなたは平和の舵手

害する心 向けられしも
利益の心 向けかえす
この地球の全ての民族に
平和の道を示す偉大な人

平和の白い天の鳥 X3

利益の心 むけしも
お返しに災い もたらされ
怒り無く愛と慈しみを守る
あなたは平和の大海

両手を合わせ
六道の有情を頭上に頂き
地球の全てを従える
平和の偉大な伝道師

平和の白い天の鳥 X3

この世の国々
武器と軍隊により
人々 従わせる
このどこが驚くべき

武器や軍隊なしに
釈迦の弟子一人して
この世を支配する
これぞ驚くべし

平和の白い天の鳥 X3

祖国観音の浄土(普陀洛伽)を
悪願の怒鬼に踏みにじられしも
彼らにさらなる愛と慈しみを示す
平和の白い天の鳥

平和の白い天の鳥
千万年の長寿を願う
過たぬ三宝の真理により
祈願が叶えられますように

平和の白い天の鳥 X3

——————————————————————-

追記:同じ歌でチベット内地で編集されたMV版は以下:
http://www.youtube.com/watch?v=H-Gff0GDS_w&playnext=1&list=PLF166061713F97602

他、チベット3地域の団結を歌った歌で、当局に問題視されている曲:<団結の歌>
http://www.youtube.com/watch?v=ZKDUn77U0b4&feature=related

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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