チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2011年2月10日

チベット語の抵抗歌を歌い獄に繋がれていた、人気歌手タシ・ドゥンドゥップが解放された

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c64c56d9.jpg今日はちょっと嬉しいニュース。

関連記事はすでに沢山出ている例えば;
RFA英語: http://www.rfa.org/english/news/tibet/released-02082011153914.html
RFAチベット語:http://www.rfa.org/tibetan/otherprograms/newsanalysis/amdo-singer-tashi-dhondup-released-02082011112012.html
HPPE: http://www.highpeakspureearth.com/2011/02/tibetan-singer-tashi-dhondup-released.html
I Love Tibet: http://ihearttibet.org/
Phayul: http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=29082&article=Rebel+Tibetan+singer+jailed+for+%22subversive+songs%22+released

以下、主にphayul記事の訳。

中国当局は今週火曜日獄中にあった人気チベット歌手を解放した。
彼はチベットの独立、亡命の身にあるチベットの指導者ダライ・ラマへの憧憬、中国政府による2008年のチベット弾圧等に関する歌を歌ったとして刑務所に入れられていた。
関連過去ブログ:http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51303934.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51497557.html
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51384333.html

RFAによれば、タシ・ドゥンドゥップ(བཀྲ་ཤིས་དོན་གྲུབ་)は西�最の刑務所を早朝に出て、「同じ日の夕方7時には故郷のユルガンに無事到着した」。RFAはタシの親戚の者の話として「途中ツェコ(རྩེ་ཁོག་ 興海)を通過するとき、彼は土地の人々からカタや喜びの声で歓迎された」と伝えている。

同じく匿名希望の親戚は「彼が故郷のマロ(རྨ་ལྷོ་ཁུལ་སོག་པོ་རྫོང་ 河南モンゴル族自治州)に到着した時には彼の家族、ファン、友人たちが暖かく迎え入れた」と話す。

さらに「地域の警察は地元のチベット人やモンゴル人が彼を歓迎することを邪魔しなかった」と。(彼はモンゴル人)

タシは去年5月に「国歌転覆を計る歌」をアルバムに納めたとして1年7ヶ月の刑を受けた。

2009年11月に彼のアルバム「痕跡なき拷問」が当局により禁止されたあと、逮捕状が出され、彼は逃亡生活に入っていた。が、結局2009年12月3日西�最のレストランで突然銃を突きつけられ逮捕された。一緒に食事をしていた妻はその時、泣きながら、一人の警官の足にしがみついたという。

タシは2008年9月にも一度逮捕されている。その時は「1958~2008」というアルバムを発表した後であったが、その内容が「反革命的」とされたことによる。ICTによれば、この時彼はひどい拷問を受けたとされる。

故郷のアムドでは彼は人気スターであり、このアルバムは一ヶ月の間に5000部を売り上げたという。

彼の逮捕は2008年から始まった、チベットの芸術家、作家、知識人を狙った言論弾圧の一環である。

—————————————————————-

2010年5月にはチベットの地方当局はタシの歌を含む「27の禁止曲」というものを発表し、これらの歌CDを保持していたり、携帯に入れていたことが分ると逮捕の対象となる可能性があるとされた。

この話については@fallindaysさんがブログで報告されている。
http://www.mobileplace.org/dias/blog/crackdown-on-tibetan-ringtones

彼のアルバム「1958~2008」の一部は以下で聞く事ができる。
http://vimeo.com/10314586

以下、歌詞の一部訳は長田さんの「チベット式」ブログより
http://tibet.cocolog-nifty.com/blog_tibet/2009/12/post-6da8.html

西暦1958年、黒い敵がチベットにやって来た。
ラマが獄中に囚われた、あの年が、私たちは心底怖い。

西暦2008年、チベット人はゆえなく殴られた。

この世の民が虐殺された、あの年が、私たちは心底怖い。

「རྨ་ཁ་མེད་པའི་གཅར་རྡུང་ 痕跡なき拷問」英語タイトル「Torture Without Trace」は以下のyoutubeで聴く事ができる。
http://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=k69MzfZC3Tg

追記:この歌詞を訳して見た。

まず第一にお父さん(ダライ・ラマ法王)が遠くから帰って来ないということ
二つ目に民族が調和共存していないという苦しみ
三つ目にチベットが侵略され自由がないということ
この三つはすべて痕跡なき拷問

先祖の富が外来者により持ち去られたという悔恨が一つ
地下資源が自分たちのものでないという苦しみが二つ
我らの民族を絶やすための不妊手術が三つ
この三つはすべて痕跡なき拷問

父母の慈愛を拒否された苦しみが一つ
同胞の内なる声を聞く事ができない哀しみが二つ
我々の山河が汚される嘆きが三つ
この三つはすべて痕跡なき拷問

我々の山河が汚される嘆きが三つ
この三つはすべて痕跡なき拷問

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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