チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2011年2月4日
アムドの作家タクミック再逮捕
TCHRD(チベット人権民主センター)2月4日付けプレスリリースhttp://www.tchrd.org/press/2011/pr20110204.html
及びphayul.com
http://www.phayul.com/news/article.aspx?id=29055&article=China+rearrests+Tibetan+writer+Gyitsang+Takmig
Tibet Timesチベット語
http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=3995
筆名ギィツァン・タクミックསྒྱིས་ཚང་སྟག་སྨིག་で広く知られる作家・元僧侶ケルサン・ツルティムསྐལ་བཟང་ཚུལ་ཁྲིམས་が2010年12月16日、甘粛省甘南チベット族自治州サンチュ(夏河県)で拘束された。TCHRDの入手した情報によれば、ツォエ(合作市)の公安は彼を尋問のために呼び出した後、そのまま拘留したという。
ケルサン・ツルティムは去年2010年7月27日、「政治的間違い」を冒したとして四川省のズゲམཛོད་དགེ་で逮捕された。彼は法王がチベットを去った後にチベットで起こったこと、チベット内部のチベット人の苦悩、要求、希望、憂慮、夢等を語ったビデオコンパクトディスクを製作し、2500部を配布した。また彼はチベット人の思いを記した「མི་ཡུལ་དུ་ཕུལ་བའི་སེམས་པ(人の世に送る思い)」という本も出版している。
家族からの懇請にも関わらず、逮捕の理由などについて公安は何も答えていないという。
2010年10月15日、激しい拷問を受けた後、以後如何なる政治的活動もしないという条件で解放されていた。また、24時間携帯を切ってはいけない事。呼び出されたなら直ちに公安に赴く事等命令されていた。
ケルサンはこのビデオを特に「字が読めないチベット人や一般の人々」を対象に、中国政府のプロパガンダに対抗するため「人々に自由への闘いの本当の歴史を知らせ、ダライ・ラマ法王の求める『真のチベット自治を目指す中道』を説明し、チベットの人権状況を知らせる」ことを目的に作ったという。
また、外の世界に対し「チベット人に対する中国の弾圧を終わらせ、法王がチベットに帰還できるよう、速やかに行動してほしい」と訴えている。
ケルサンの逮捕は作家、ブロガー、歌手、芸術家、その他の文化人や知識人を狙った中国のチベット人に対する言論弾圧の一環である。
ケルサンの製作したビデオはカム、アムドを中心に広範な地域に配布され、国外にも持ち出された。
ビデオは以下から見る事ができる:
http://www.tibetonline.tv/videos/71/appeal-about-the-plight-of-tibetans
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)