チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年11月13日

中国の人権に関するNGO共同声明 等々

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いくつか、お知らせを。

アムネスティー・インターナショナル東京支部は中国の人権問題に関し、外務大臣宛に以下の共同声明を作成し、11月9日外務副大臣に面会し、これを手渡した。

これには内のルンタ・プロジェクトも協賛団体として名を連ねているので、ここに発表させてもらう。

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NGO共同声明:
日本政府が人権を外交政策の柱とし、中国において人権が保障されるよう、APECをはじめとする様ざまな機会に、他国政府とも協力し、行動することを求める

外務大臣 前原誠司 様

 2010年のノーベル平和賞を劉暁波さんが受賞するにあたり、私たちは、中国の人権状況の改善に向けて日本政府が一層の外交努力を進めるよう要請します。

 劉さんは、中国の人権保障や民主化を非暴力的に求めてきました。しかし現在、不公正な裁判の結果、「国家政権転覆扇動」の罪で11年の刑を受けています。そして中国では、劉さんだけでなく、表現の自由という基本的人権を平和裏に行使したというだけで多くの人びとが投獄されています。たとえば、チベット人の映画監督であるドンドゥプ・ワンチェンさんは、チベット人のインタビュー映像を収めたドキュメンタリー映画を制作したことにより、「分離主義を扇動した」として6年の刑を受けました。ウイグル人ジャーナリストのハイラット・ニヤズさんは、香港メディアの取材を受けたという理由で15年の刑を受けました。

 中国での人権問題は、表現の自由をめぐるものに限られません。たとえば民族差別についても、私たちは懸念しています。米国の「中国に関する議会・行政府合同委員会」(USCECC)は、中国政府のウェブサイト上に掲載されている公務員、国営企業、民間企業の求人広告のなかには、漢民族に限定したものがあると報告しています。これは差別的な雇用に中国政府が直接かかわっており、民間における雇用差別を黙認し、雇用差別への防止策を講じていないことを示唆しています。

 新疆ウイグル自治区やチベット自治区などにおける抗議の背景には、宗教の自由に対する規制、実質的には漢人を優遇する開発戦略、漢語以外の使用を認めない教育言語政策など、中国政府が少数民族に対して抑圧と差別を続けてきたことへの積年の怒りがあります。(詳しくは同封の報告書を参照してください。)

 私たちはこれまでも、中国の人権問題についてそれぞれ取り組んできました。このたび劉暁波さんにノーベル平和賞が与えられるのを機に、日本政府が下記の各点につき取り組むよう、要請いたします。

1 下記の各点につき、
(1)中国政府へ直接働きかけること。
(2)中国政府に働きかけるよう、各国政府に要請すること。
(3)中国政府に対し、中国の少数民族が置かれた人権状況への懸念を表明すること。

 - 劉暁波さんをはじめ、平和裏に表現・結社・集会の自由を行使したことのみを理由として拘禁されている人びとを速やかに且つ無条件に釈放すること。
 - インターネットやニュース報道の検閲を止め、ジャーナリストを含む独立メディアへ報道の自由を認めること。
 - 市民的及び政治的権利に関する国際条約(自由権規約)、拷問等禁止条約を批准し、実効的に国内で実施すること。
 - 国際人権法および人権基準に基づいて自らの文化を享受し、自らの宗教を実践し、自らの言語を使用する少数民族の権利を尊重し擁護すること。
 -中国が批准する人種差別撤廃条約の第1条に謳われた、あらゆる理由に基づく差別の明確な定義とその禁止を国内法に導入し統合すること。
 - 開発計画に地域共同体を参加させ、それらの計画がすべての民族に平等に利益となることを保証すること。

2 2010年アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議や閣僚会議において、議長国として、優先分野に上げられている人間の安全保障において、その実現に不可欠である人権の保障についても積極的にとりあげること。

2010年11月9日

<呼びかけ団体>
アムネスティ・インターナショナル日本

<賛同団体>(順不同)
アジアと中国の民主主義を考える会
スチューデンツ・フォー・フリーチベット日本
ルンタ・プロジェクト
四方僧伽
中国民主団結聯盟日本支部
民主中国陣線日本支部
ヒューマン・ライツ・ウォッチ

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<ノーベル平和賞受賞 劉暁波氏を支援する会 人権議員連盟>

同じ11月9日、牧野聖修議員、今野東議員も10月21日の院内集会で
決議した決議文を提出された。

これについては以下のYouTubeをご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=E3uWg_2ueY0

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YouTubeついでに:以下はリチャード・ギア氏とかが訴える、ICT作成の人権擁護アピールのショートビデオ。
http://www.youtube.com/watch?v=uFhZ-O6mFTg

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以下は恒例の素晴らしい学習会のお知らせ。

第10回「チベットの歴史と文化学習会」
~周縁からのチベット~

■日時:2010年11月27日(土)18:00~21:20(開場17:50)

■場所:文京区民センター 3-A会議室
    交通 営団丸ノ内線・南北線 後楽園駅徒歩3分
    都営三田線・大江戸線春日駅徒歩1分
    JR総武線水道橋駅 徒歩13分
    http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754

■参加費:¥1000

■参加のお申込み
 当日参加も可能ですが、事前にお申込みいただいた方を優先させていただきます。
申込みページ(↓)からお申込み下さい。
 参加お申込みページはこちら(http://www.tibet.to/gaku10/
※11月1日お申し込みスタート。
※定員になり次第締め切らせていただきます。

■プログラム(予定)

特別講義(1)「民族と自由 ーモンゴルとチベットー」

講師:田中克彦(たなか・かつひこ) [言語学・モンゴル学/一橋大学名誉教授]

ソビエト連邦の崩壊とともに宗教への禁圧が解け、ロシアの3つの共和国では一斉にチベット仏教が再興した。ダライ・ラマが招かれ、仏像開眼の法要が営まれた。このような仏教再興の動きとその基地となった独立モンゴル国の役割について考えます。
参考⇒『モンゴル 民族と自由』(岩波同時代ライブラリー)

特別講義(2)「ダライ・ラマの外交官ドルジーエフ ~激動の内陸アジアを駆け抜けたブリヤートモンゴル人」

講師:棚瀬慈郎(たなせ・じろう) [文化人類学/滋賀県立大学人間文化学部教授]

19世紀末から1930年代にかけて、ダライ・ラマ13世の側近として活躍したブリヤート系モンゴル人アグワン・ドルジーエフ(1854-1938)の波乱の生涯を通して、内陸アジアへのチベット仏教伝播を考えます。

参考⇒『ダライラマの外交官ドルジーエフ チベット仏教世界の20世紀』(岩波書店)

チベット最新情報「被災地を訪れて」
報告:渡辺一枝(わたなべ・いちえ)[作家]
司会:長田幸康 (おさだ・ゆきやす)[ライター、I love Tibet!HP 主宰]

ジェグド(ジェクンド、青海省玉樹県)を襲った大地震から半年。最近現地を再訪した渡辺一枝さんの報告と写真から被災地のその後を辿り、前回呼びかけた「わたしたちにできること」を考えます。

*発言者は都合により変更となる場合もあります。

●主催:チベットの歴史と文化学習会

●お問い合わせ:e-mail: trb.gakusyuukai@gmail.com
       

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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