チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年10月11日
獄の状況
写真:ダプチ刑務所��蹌后檻隠亜檻海硫�
連帯委員会は21日付のプレスリリースで、
チベットの監獄の非人間的な状況を訴え、国際社会に彼らの保護を求めている。
以下Y女史が翻訳して下さいました。
チベット連帯委員会 2008年5月21日リリース
http://www.stoptibetcrisis.net/pr210508.html
ラサ、シトゥ刑務所<チベットの「良心の囚人」の現状>
チベットで3月10日以来発生している全国規模の平和的な抗議活動は、収束に向かっているわけではなく、チベット人抗議者達の逮捕も引き続き行われている。
中国当局は、これまでにチベット全域において少なくとも5000名のチベット人を逮捕拘束したと推測される。
短期の拘束の後に釈放された人々の証言によると、拘束されたチベット人達は監
獄の中で、職員や兵士らによる冷血で残虐な扱いを受けている。
外部への発覚を避けるため、逮捕されたチベット人達はラサ周辺のグツァ、ダ
プチといったきわめて悪名高い刑務所ではなく、ラサ郊外の倉庫やトンネルから
なる仮設の刑務所に収監されている。
拘束された人々の多くは、未知の行き先へと徐々に移送されており、現時点で彼
らは完全に行方不明になりつつある。
これらの刑務所では、過剰な殴打により収監者達を不具にしてもよい、との命令が出されているという。実際腕や足を折られている者もいる。
取調べの間、役人らは殴打に加え、時として火のついた煙草を体のあらゆる場所に押しつける、といったような尋問をやる。
拘束されている人々は、鎖の手枷足枷を嵌められ、両手を背中で縛られたまま長い時間吊り下げられ(通称「飛行機」)、おこなってもいない犯罪の自白を強制されている。
特にラサ騒乱の影響で、収監されているチベット人達は、いわゆる騒乱の「首謀
者」「共謀者」ほか加担した人々についての情報を引き出そうとする当局によっ
て、残忍な尋問に晒され続けている。
いくつかの監獄では、収監されている人々は3~4日に一度しか食べ物を与えられ
ていない。
ほとんどの監獄では、人々は一日あたり小麦粉の団子(蒸しパンか?)を半分しか与えられていない。
しかも、何日も水を与えられていないため、多くの人々は自分自身の小水を飲んでかろうじて命をつなぐ、といった状態に追い込まれている。
大勢が弾圧の際に負傷し、その後も監獄のなかで過剰に殴打されており、何の医
療措置も施されないまま、怪我によって死亡し続けている。
また当局は、亡くなった収監者達の遺体を即座に処分している。
これまでの例では身体状態が極度に悪化すると釈放されるが、その多くは監獄で受けた打撲その他が原因で、釈放後まもなく死亡する。
監獄では収監者達にはベッドもマットレスも与えられず、厳寒の気候であっても
じかにコンクリートの床の上に寝るしかない。
中国政府役人や看守らは気の向くままに収監されている人々を引きずり出し、中国の評判を落とした罪だなどと言いがかりをつけては、リンチを楽しむ。
中国軍人の中には、囚人を自分の武術のサンドバッグ代りに使っている兵士らもいる、という。
大勢のチベット人達が四川省にある複数の監獄に入れられていると伝えられてお
り、先日の壊滅的な大地震によって大勢が亡くなっている恐れもある。
現在も続いているチベット域内における危機的な状況を鑑み、我々は国連および
国際社会・国際機関に対して、以下の点を大至急要請する:
1. チベット域内に、独立した国際事実調査使節団を大至急派遣すること
2. 中華人民共和国政府に対して、自由な報道機関がチベット全域に無制限にアク
セスできる許可を出すよう、圧力をかけること
3. 中華人民共和国政府に、チベット全域における残虐な殺戮をやめるよう、圧力
をかけること
4. 逮捕・投獄されているすべてのチベット人を即刻釈放すること
5. 怪我をしたチベット人達に大至急、医療措置を施すこと
6. 人々の自由な移動を許可し、生活必需品が手に入るようにすること
チベット連帯委員会
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)