チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年8月24日

カム、ぺユルで鉱山開発に抗議したチベット人たちに向かって当局が無差別発砲。3人死亡、30人負傷

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2a597bd8.jpg写真はぺユル・ゴンパ:「旅行人ノート」より

8月24日付phayulによれば:
http://phayul.com/news/article.aspx?id=28009&article=Police+firing+kills+3%2c+injures+30+Tibetans+in+Palyul+County

8月18日、カム、ぺユル(་དཔལ་ཡུལ་/四川省白玉県)で地元の鉱山開発に抗議し政府庁舎前で座り込みを行なっていた丸腰のチベット人たちに中国の保安部隊が発砲。
3人が死亡、その他30人が重傷を負った。

この事件に先立ちぺユル地区シャルチュ・ギャツォ村の代表であるタシ・サンポは地方政府に対し地区で行なわれている金の採鉱をこれ以上拡大しないようにという陳情書を提出した。
タシ・サンポは地区の脆弱な環境を考慮し、これ以上の金採鉱活動を中止するようにと要請した。

地区の住民は採鉱が彼らの生活に与える影響に憂慮を示し、政府からの補償を要求していた。

約100人の住民が政府庁舎の前に泊まり込み、当局からの回答を待っていた。
18日の夜、保安部隊は彼らの意識を麻痺させるためのガスを発射した。
保安部隊は意識を失ったチベット人たちをトラックに積み込もうとしたが、その時タシ・サンポと数人のチベット人が保安部隊ともみ合いとなった。

その後、部隊はチベット人たちに向かい無差別発砲を始めた。
銃弾によりタシ・サンポの親戚にあたるスソとパポ、そしてもう一人のチベット人合わせて3人が死亡、約30人が被弾し、何人かが逮捕されたという。

負傷した人たちや逮捕された人たちがその後どうなったかについての情報は入っていない。
周辺の県から保安部隊が呼ばれ、地区の緊張は高まっている。

——————————

この事件について、RFAは先ほど、「被弾により死亡したチベット人1人」と発表し、
また、「先にタシ・サンポが逮捕され、彼の解放を求め人々が庁舎の前に15日から座り込みを初めていた」と放送した。

どちらが、最新情報なのかは不明だが、RFAはネパールからの情報とし、現地からの直接の情報は入っていないと言う。

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もう一つ、大事なニュースではあるが、ちょっと今時間がない(もうすぐダラムサラを離れる)ので簡単にお知らせする。

7月7日アムド、ゾゲでケルサン・トゥルティム(30歳、ペンネーム/キツァン・タクミクསྒྱིས་ཚང་སྟག་སྨིག་)が逮捕された。

彼は2008年「མི་ཡུལ་ལ་ཕུལ་བའི་སེམས་པ་人の国(亡命側)へ贈る思い」という本を出版し、さらにチベットには如何に自由がないかを訴えるビデオを制作し、チベットの内外に広めていた。

彼は一年以上逃亡生活を送っていたがついに逮捕された。
彼の逮捕は最近の中国政府によるチベット知識人弾圧の一環である。

彼のビデオ:
http://www.tibetonline.tv/videos/71/appeal-about-the-plight-of-tibetans

彼の話の英訳その他の情報:
http://www.savetibet.org/media-center/ict-news-reports/tibetan-monk-makes-video-appeal-return-dalai-lama-and-end-repression-tibet

チベット語:http://www.tibettimes.net/news.php?showfooter=1&id=3231

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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