チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年8月10日
料理から人の指が出たきた話・チベット自治区ソク県
8月10日付、The Tibet Express 西蔵快報(チベット語版)によれば、
http://www.tibetexpress.net/bo/home/2010-02-04-05-37-19/3813-2010-08-09-13-34-46
<中国人が経営する、中華料理店の料理の中から人の指が出てきた!>
今月3日、チベット自治区ソク県(སོག་རྫོང་ナクチュの東200km)で、中国人が経営する料理店の料理の中から人の指が1本出てくるという事件があった。
西蔵快報に寄せられた確かな情報によれば、ダチェン県(སྦྲ་ཆེན་རྫོང་)から来ていた4人のチベット人がこの店で食事を取っている時、料理の中から人の指が出てきたという。
彼らはこれを訴えるために、すぐにその指を持って地元の警察所に駆け込んだ。
ところが、警察は捜査など何もせず、
「お前らがわざと何か問題を起こそうと企んだに違いない。こんなものが中華料理屋から見つかる訳が無いじゃないか!指はお前らが(切って)持って来たんだな」と逆に罪をすべてチベット人である彼らになすりつけ、彼らを逮捕しようとした。
しかし、そこに、その時同じ料理店の内外にいて、事の次第を目撃していた人たちが現れた。
仕方なく、警察は彼らを逮捕することができなかった。
同じ日に中華料理屋の中国人店主は拘束されたが、2日後の5日には早くも解放されたという。
前からよく、この辺の中国人経営の料理店の料理の中には人の指などが入ってるという噂があったという。
しかし、実際に証拠が上がったのは今回が初めて。
「(矢で)射るべき的を射ず、周りの草むらを射る」という諺の如く、地元の警察は今もみんなの家を捜査するぞ、と(抗議する者を)脅している。
町のチベット人たちは人種差別を行なっているとして、政府を非難し、嫌悪の情を示しているという。
住民の1人は「最近、中国軍が住民に対し更に厳しい態度を取っている。本当の事を訴える場がない。前からいる軍隊とかつて住民が衝突したことがあり、その時から警戒はきびしい。今回のことで更に厳しくなった」と現状を伝える。
(訳tonbani)
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)