チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年7月4日

ダラムサラの野鳥・その13

Pocket

Himalayan Griffon (Gyps fulvus) 110-122cmHimalayan Griffon Vulture( Gyps himalayensis) 110-122cm
ヒマラヤ・グリフォン・ハゲタカ

今日は久しぶりに恒例の「日曜ダラムサラ野鳥シリーズ」(写真はクリック)。

今日は大物を中心に紹介する。
だから、「この子、可愛い!」というやつは少ないかもしれない。

まずは、この辺では一番大きく一番威張ってるのがこのハゲタカ。
世界には13種類ほどのハゲタカがいるらしいが、山を越え、チベット側で鳥葬の係りを担当するのもこの同じハゲタカだ。

昔(10~20年前)は沢山のハゲタカを見かけたが、最近は稀にしか現れなくなった。餌になる、牛の死体等が少なくなったのかもしれない。

チベットで鳥葬を見ていると、最後に輪を描きながら空高く登っていくハゲタカとともに、青空にその亡くなった人の心が登っていくような錯覚を覚える。
それを見ると、自分が死んだら鳥葬もいいな、、、と思ったりするものだ。

Himalayan Griffon (Gyps fulvus) 110-122cmHimalayan Griffon Vulture( Gyps himalayensis)
GriffonとかGriffin というのは元々ギリシャ神話に出てくる想像上の怪物の名前だ。

その怪物はある解説によれば、
「頭と翼が鷲、獅子の体で翼を持ち、背中は羽毛で覆われている。鳥のような巣をつくり、卵のかわりに瑪瑙を産む。長い蹄と嘴は大きく、盃がつくれるほどだという。

故郷はインドだという。山から黄金をみつけ、黄金で巣をつくる。狩人が狙うので夜も寝ずに番をする。生まれながらに黄金の埋まっているところを知っているという。」

また、別の解説には、
「ギリシャの遥か北方に棲むとされた怪鳥。
鷲の頭と前脚と翼を持ち、ライオンの後ろ脚を持つ。
金鉱の番人の役目を持つとされ、アリマスポイ人と戦ったという。
ライオンと鷲という立派なイメージあるせいか、ゼウスやアポロンのチャリオットばかりか、アレクサンダー大王の馬車を引いたという伝説もある。」そうだ。

死肉を漁る浅ましく怖いただの「禿鷹」より、「グリフォン」と名付けただけで何だか高尚で勇ましいイメージに仕上がるわけだ。

Egyptian VultureEgyptian Vulture(Neophron percnopterus)
これもハゲタカだが、上記のハゲタカは羽根を広げれば3mほどになるが、こちらは小柄で2mほど。
禿げた頭は黄色。
ちょっと見には白い鷹に見える。

ダラムサラも雨季に入ったが、まだまだ雨は少なく、暑くなくて快適な日々が続いている。
雨季になり、野鳥の数がぐっと増えた。
餌になる虫が増えたからだろう。
特に雨が降った後の朝にはうるさい位に至る所から囀りが聞こえてくる。
目の前に一度に数十羽の鳥が飛び交うこともよくある。

ところで、突然話題が変わるが、ラクパというチベット人の男が、チベット問題を訴えるために世界中をバイクで回っているということをご存じであろうか?
以下のyoutubeは最近回ったデンマークとスエーデンの映像だ。

彼はインドに亡命した両親を幼い時に亡くし、その後TCVに孤児として預けられそこで育った。

その彼が昨日、フィンランドからアエロフロートで日本に到着したのだ。

昨日はちょうど、法王事務所主催のダライラマ法王誕生日祝賀パーティーがあったが、それにもタイミングよく出席できたようだ。
ラクパさんを始めとする在日のチベット人にも会えたことだろう。

これから、予定では東京から西に向かい、名古屋、京都、大阪、広島、福岡まで走るそうだ。

沿道からは必ず応援の叫びを上げ、至る所で歓迎パティーを開きましょう。
各地の報道関係の方々は必ず、彼をカバーするようお願いします。

バイクに乗る方などは一緒にチベットの旗立てて数台で勇ましくツーリングされては如何でしょう。
もっとも、目立ち過ぎると、お巡りさんに暴走族に間違えられるかも知れませんね。
その時は、こっちは全く「反対の族」なのですと説明すればいいでしょう。

彼はSFTのツェリンと連絡取り合っているようですので、SFTがそれなりにサポートしてくださると思いますが、地方は地方で支援お願いします。

お経導師のペムシとTCVで同級だとか、事務所のツェワンさんの奥さんと大学がいっしょとかの縁もあり、東京では泊るところがあるようですが、その他の経由地で面倒みたいという方がいらっしゃいましたらお知らせください。

彼のホームページは:http://freetibetworldtour.com/about/

もっとも、バイクが届かないかもしれないとのこと、その時はバイクをレンタルすることも考えているようです。
余ってるバイクがある方もお知らせください。

以下、再び本物の鳥に戻る。
ラクパのバイク鳥はハゲタカ級のBMW1000ccだ。

Longlegged Bussard(Buteo rufinus) 45cmLonglegged Bussard(Buteo rufinus) 45cm
小型鷹類の一種だが、このタイプの鳥は中々種類を見分けることが難しい。
インドの野鳥本も大したものをもってないので、名前は間違ってるかもしれない。
野鳥に詳しい方は教えてください。

それにしてもこのタイプを見かけることは稀だ。

これも、朝ヨガの最中目の前に突然一度だけ現れたやつ。

Grey Frog Hawk(Accipiter soloensis)35cmGrey Frog Hawk(Accipiter soloensis)35cm
日本にいる「アカハラダカ」にそっくりだ。
しかし、日本のアカハラダカの分付図を見るとインドは入っていない。
もっとも、このような例は多々ある。
私の持ってる日本の鳥本の分布図が正確でないのか、調査がそれほど行われていないのか?
この辺にいる鳥と同じと見なされる鳥を日本の本の中に見つけても、ここにはいないことになっているのだ。

unknownカッコウ目と思われる。

Jungle Crow (Carvus macrorhynchos)48-50cmJungle Crow (Carvus macrorhynchos)48-50cm

この辺りのカラス。
紫色の光沢が特徴だ。

カラスは鷹にも襲いかかる。
怖いものなしで、他の鳥、みんなに怖がられている。

unknown名称不明 
40cmほどはある目つきの鋭いやつ。
初めて見て、本の中に探したが、似たようなのが見つからなかった。

Grey headed Woodpecker(Picus canus) Male 33cmGrey headed Woodpecker(Picus canus) Male 33cm
大型のキツツキ。
日本の「ヤマゲラ」と同じと思われる。
頭頂が赤いのがオスの特徴。

Grey headed Woodpecker(Picus canus) Female 33cmGrey headed Woodpecker(Picus canus) Female 33cm
上のグリーン・キツツキのメス。

頭頂が赤くない。

Brown fronted WoodpeckerBrown fronted Woodpecker 18cm
このキツツキがこの辺でもっともポピラー。

Speckled Piculet (Picumnus innominatus) 10cmSpeckled Piculet (Picumnus innominatus) 10cm
小さな小さな、可愛いキツツキ。

鳥の身長とは、背中を床にまっすぐにのばした時の頭からしっぽまでの長さだ。
10cmとなっているが、見た目は6~7cmしかない。

Wedgetailed Green Pigeon (Treron sphenura)33cmWedgetailed Green Pigeon (Treron sphenura)33cm
日本の「アオバト」に似るが、アオバトはここにいないことになっている。

この美しいハトにも最近初めて出遭った。

Himalayan Great Barbet (Megalaima virens) 33cmHimalayan Great Barbet (Megalaima virens) 33cm
この子は嘗て紹介済みだが、この前すぐ目の前の枝に留まり、レンズをじっとのぞき込んだ。

mangooseおまけのマングース。

親子でいると、不断は鳥の巣などを襲おうとするので嫌な奴と思ってるマングースもとても可愛くなる。

マングースはインド原産らしい。

これが、うろつくと、鳥がかえって沢山集まる。集まってうるさいぐらいに囀る。
警戒音を発してるつもりなのだろうが、かえって面白がって沢山色んな鳥が現れ騒ぎ、鳥のパーティー状態になる。

来週は、珍しい小鳥ばかり紹介する予定だ。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

ちべろぐ

Archives

  • 2018年3月 (3)
  • 2017年12月 (2)
  • 2017年11月 (1)
  • 2017年7月 (2)
  • 2017年5月 (4)
  • 2017年4月 (1)
  • 2017年3月 (1)
  • 2016年12月 (2)
  • 2016年7月 (1)
  • 2016年6月 (1)
  • 2016年5月 (9)
  • 2016年3月 (1)
  • 2015年11月 (1)
  • 2015年10月 (2)
  • 2015年9月 (4)
  • 2015年8月 (2)
  • 2015年7月 (14)
  • 2015年6月 (2)
  • 2015年5月 (4)
  • 2015年4月 (5)
  • 2015年3月 (5)
  • 2015年2月 (2)
  • 2015年1月 (2)
  • 2014年12月 (12)
  • 2014年11月 (5)
  • 2014年10月 (10)
  • 2014年9月 (10)
  • 2014年8月 (3)
  • 2014年7月 (9)
  • 2014年6月 (11)
  • 2014年5月 (7)
  • 2014年4月 (21)
  • 2014年3月 (21)
  • 2014年2月 (18)
  • 2014年1月 (18)
  • 2013年12月 (20)
  • 2013年11月 (18)
  • 2013年10月 (26)
  • 2013年9月 (20)
  • 2013年8月 (17)
  • 2013年7月 (29)
  • 2013年6月 (29)
  • 2013年5月 (29)
  • 2013年4月 (29)
  • 2013年3月 (33)
  • 2013年2月 (30)
  • 2013年1月 (28)
  • 2012年12月 (37)
  • 2012年11月 (48)
  • 2012年10月 (32)
  • 2012年9月 (30)
  • 2012年8月 (38)
  • 2012年7月 (26)
  • 2012年6月 (27)
  • 2012年5月 (18)
  • 2012年4月 (28)
  • 2012年3月 (40)
  • 2012年2月 (35)
  • 2012年1月 (34)
  • 2011年12月 (24)
  • 2011年11月 (34)
  • 2011年10月 (32)
  • 2011年9月 (30)
  • 2011年8月 (31)
  • 2011年7月 (22)
  • 2011年6月 (28)
  • 2011年5月 (30)
  • 2011年4月 (27)
  • 2011年3月 (31)
  • 2011年2月 (29)
  • 2011年1月 (27)
  • 2010年12月 (26)
  • 2010年11月 (22)
  • 2010年10月 (37)
  • 2010年9月 (21)
  • 2010年8月 (23)
  • 2010年7月 (27)
  • 2010年6月 (24)
  • 2010年5月 (44)
  • 2010年4月 (34)
  • 2010年3月 (25)
  • 2010年2月 (5)
  • 2010年1月 (20)
  • 2009年12月 (25)
  • 2009年11月 (23)
  • 2009年10月 (35)
  • 2009年9月 (32)
  • 2009年8月 (26)
  • 2009年7月 (26)
  • 2009年6月 (19)
  • 2009年5月 (54)
  • 2009年4月 (52)
  • 2009年3月 (42)
  • 2009年2月 (14)
  • 2009年1月 (26)
  • 2008年12月 (33)
  • 2008年11月 (31)
  • 2008年10月 (25)
  • 2008年9月 (24)
  • 2008年8月 (24)
  • 2008年7月 (36)
  • 2008年6月 (59)
  • 2008年5月 (77)
  • 2008年4月 (59)
  • 2008年3月 (12)