チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年7月1日

中国のスパイと拷問

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chinese spyチベット人も相当拷問されるが、中国で拷問されるのはもちろんチベット人だけじゃない。
民族的には現在チベット人とウイグル人がもっとも拷問に晒され易いであろうが、社会的グループとして一番拷問に晒され易いのは何と言っても「法輪功」の人々であろう。
残酷を極めた彼らへの弾圧は、おそらくチベットを上まるかもしれない。
http://isukeya.iza.ne.jp/blog/entry/1378266/

その法輪功弾圧のために中国政府がゲシュタボを真似て?設立した「610オフィス」という組織がある。
その組織の最高責任者の羅幹と彼を指導したとされる江沢民前総書記はスペインとアルゼンチンの国家法廷により、「ジェノサイドと拷問の罪」により2005年法輪功の人々により告訴された。
4年の審査の結果、去年の暮に両国は二人に対し刑事訴訟手続を起動し、国内や国外において彼らを逮捕するよう決定したという。

で、話はその羅幹なのかどうか定かでないが、近頃ドイツで、この「610オフィス」の責任者と名乗る男と、もう一人の中国政府高官が国内の法輪功の人々に対するスパイ罪の容疑で取り調べを受けているという。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=27635&article=Germany+Cracks+Down+on+Chinese+Regime%e2%80%99s+Spying
ドイツのある新聞(Spiegel)などでは、このことが数週間後に控えたアンゲラ・メルケル首相の中国訪問にも影響するかもしれないと伝えているとのこと。

去年の暮れにもミュンヘンの中国領事館付きの外交官がドイツ内部のウイグル人コミュニティーをスパイしたとして国外退去処分を受けている。

ドイツ内務省が6月21日に発表した2009 Constitutional Protection Reportの中で、テロリストとスパイがいかに国を脅かしているかが報告されている。
その中、数ページを費やした中国のスパイ活動についての報告がある。
「中国は組織的、計画的に政治的、工業的、軍事的情報を集めているだけではなく、政府に脅威を与えると見なす一般人のグループに対してもスパイ行為を行なっている」と報告される。
中国政府が、「五毒と戦え」を標語として、体制を脅かす可能性のある「五毒」をいかに弾圧しているかについて述べられている。
「もっとも影響を受けているのは、中国が分離主義者と見なすウイグル人とチベット人、そして法輪功グループだ。それ以外に中国共産党は民主主義運動のメンバー、及び台湾独立を擁護する者たち、この人たちが国家の敵と見なされている」と報告書は述べる。

「610オフィス」
は1999年6月10日、江沢民により、その当時7000万人(政府発表)いたという、法輪功学習者を根絶やしにするために設立された。
現在の学習者の数については政府は迫害の効果あってすでに200万人以下になったというが、実際には今も数千万人の学習者がいると言われている。

彼らに対する拷問について、アルゼンチンで200ページに及ぶ報告者をまとめたラマードリッド裁判官によれば「両被告がこのジェノサイド犯罪を実行する過程において用いた手段はきわめて残忍で、人間の生命と人類の尊厳を著しく蔑視している。
法輪功の根絶を目的とするこの集団弾圧において、不法逮捕、洗脳教育、虐待、拷問、殺戮が日常茶飯事に行われている」
と書き記した。

調書の中、同裁判官は、被告らの罪の重大さに鑑み、「普遍的管轄権」の使用を強調している。
原告側弁護団の一人アレハンドロ・G.カウズ弁護士は、「共産党独裁政権下で生きたことがない人間には、その辛さは到底分かり得ない、とルーマニアのある外交官がかつて語っていたが、4年間の調査を行ってきた中、私は身をもってこの言葉の真意を理解した。自由と真理のため、共産主義の残酷さを暴露するための戦いに参加できたことを誇りに思う。
連邦裁判所の今回の決断は、この弾圧を制止するための第一歩であり、この弾圧は必ず終結させなければならない」と語ったそうだ。

法輪功側の発表によれば、昨年一年間だけでも2200人以上の学習者が新たに投獄され、109人が獄中で死亡しているという。

拷問は色々だろうが、例えば「ある学習者は一度に6本の高圧電気棒を使われたり、爪をはがされた」という。

かつて、このオフィスのメンバーであり2005年にオーストラリアに政治亡命した陳氏によれば、外国にいる法輪功メンバーはすべて調べつくされているという。
外国にいる法輪功メンバーの情報を集めれば5万元までの多額の報酬を得ることができるそうだ。
(チベット人や支援者の情報は幾らかな?)

最近、アメリカで美人を含む10人のロシアのスパイが逮捕され、裁判が開かれているというニュースが流されている。
ドイツでもこうして中国のスパイというか高官が取り調べを受けている。

では、日本はどうなのか?
日本には中国のスパイはいないのか?
そんなわけないのだ。日本の法輪功学習者もウイグル人もチベット人もみんなちゃんと監視されている。
それだけではない、彼らを支援するの日本人だって監視だけではなく、直接、間接の嫌がらせをうけている人だっている。もっとも今のところ、その対象は大物だけだけど。

ある報告によれば日本に中国人スパイは1000人いるという。
http://www.globe-walkers.com/ohno/interview/chin.html世界には1万人という。

しかし、日本政府がこれまでに日本で活動する、スパイたちを告発したという話はきいたことがない。報告書さえ作っていない?
ある議員はあまりに露骨な干渉を公安に報告したが、日本の公安はそれを無視したという(私が直接聞いた話)。
日本は中国の諜報員の活動を自由に許しているがごとしだ。
日本も裁判は到底無理にしても、他のちゃんと独立してる先進国を少しは見習ったらどうかね。
小沢殿がいる限り、無理だってか?

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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