チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年5月20日
カム、ジョンダ 中国公安 ワラ僧院僧侶6人逮捕
5月19日付TCHRD(チベット人権民主センター)プレスリリース:
http://www.tchrd.org/press/2010/pr201005019.html
当センターに寄せられた確認情報によれば、
5月15日、チベット自治区チャムド地区、ジョムダ(江達)県タンプにある名刹ワラ僧院の僧侶4人が、2008年春、県庁舎の前で行なわれた抗議デモを先導したとして逮捕された。
次の日、16日には「愛国再教育キャンペーン」の下で僧侶たちを「教育」することに失敗したとして、2人の政府指名監督僧が逮捕された。
逮捕は15,16日の早朝、大勢の公安職員が各僧坊を襲うという仕方で行なわれた。
15日にはティンレイ(25)とナンセ(27)がそれぞれの僧坊で逮捕された。
スゴン(26)は公安が僧院に来たことを全員に知らせるために、警告の鐘を鳴らしたとして逮捕された。
ケルサン・ギュメ(29)は僧院内では逮捕されず、後に自宅で逮捕された。
4人の僧侶は何れも、ワラ僧院の経営するワラ仏教哲学学堂の生徒である。4人は現在ジョンダ公安拘置所に拘留されている。
16日早朝、再び公安が現れ、2人の指導的僧侶ソナム・ゴンポ・スゴン(40)とトプギェル(29)を逮捕した。
2人は2008年4月に始まった「愛国再教育キャンペーン」により十分僧侶たちを「教育」しなかったとして逮捕されたと思われている。
2人の行方は未だ知られていない。
2008年4月3日、当僧院に来た再教育キャンペーン「実行隊」に対し、僧侶たちは「命に掛けても決して我々の根本のラマであられるダライ・ラマ法王を非難することなどしない」と宣言し、対峙した。
また、この僧院の多くの僧侶が2008年中にこの地域で起ったデモの先頭に立っていたという。
以下略
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このジョンダにあるサキャ派・ワラ僧院の創建は1243年、サペン・クンガ・ギェルツェンによる。
自前のチベット大蔵経カンギュルの版木を保有していたことで知られる、と<旅行人ノート>にある。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)