チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年5月14日
ウーセル女史に「報道勇気賞(Courage in Journalism award)」
5月14日付、パユル・ダラムサラ:
http://phayul.com/news/article.aspx?id=27297&article=Tibetan+writer+Woeser+wins+%e2%80%98Courage+in+Journalism+award%e2%80%99
(抄訳)
国際女性メディア基金(International Women’s Media foundation)は2010年度「報道勇気賞」をチベット人作家ウーセル女史(43)に贈るすることを決定した。
この賞は、政治的弾圧、身体的損傷、そして時には死をも覚悟で、腐敗を暴き、人権を擁護する、勇敢な女性ジャーナリストたちに与えられる。
国際女性メディア基金は、報道の自由を守るために、世界中のニュースメディアにおける女性の役割を強化することを目的とする、ジャーナリストの世界的ネットワークである。
世界の130各国のジャーナリストがそのメンバーとなっている。
基金の代表であるJudy Woodruff氏は「彼らは隠された真実を明るみに出し、我々を啓蒙するために、全てを危険に晒す。彼らの生活、安全、家族の安全さえも」と、そのプレスリリースの中で語る。
ウーセルさんがこのような賞を受けるのは初めてではない。
彼女は2007年度、ノルウェー作家協会「表現の自由賞」(the Norwegian Author’s Union’s 2007 Freedom of Expression Prize)を受賞した。
しかし、2008年3月8日に行なわれた授賞式に出席するために、彼女がオスロに出発することを、中国当局は許可しなかった。
ダラムサラのチベットジャーナリスト協会(the Association of Tibetan Journalists (ATJ))も彼女に「報道の自由メダル」というのを贈っている。
その時、北京から送られて来た受賞スピーチの中で、彼女は「もしも、誰であろうと自分の権利を、恐れが故に放棄してしまえば、指導者たちは、さらなる際限のない弾圧を押し付けてくるであろう。だから、言論と表現の自由を享受する最善の方法は、自由を妨げる条例や規制を無視することだ」と語っている。
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ウーセルさん受賞おめでとう!
彼女は本当にやさしく、勇敢で、立派な人だ。
常に、当局から嫌がらせを受け、いつ逮捕されてもおかしくない状況の中で、毎日、毎日、チベットの最新情報を、同胞に対する深い愛情を感じさせる、リリックな文章で、発信し続けておられる。
内外のチベット人にとって、彼女の影響力は絶大だ。
これからも、何事もなく、活動を続けられることを祈る。
ウーセルさんは中国語でツイッターやブログを毎日、常時更新されているが、
英訳された、ケグド地震に関する最近の記事は以下。
http://www.highpeakspureearth.com/2010/05/reality-that-came-to-surface-after.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)