チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年5月12日
マルカムの鉱山開発に抗議するチベット人に対し5000人の軍隊を投入
5月10日付、RFA:
http://www.rfa.org/tibetan/sargyur/tibetan-opposing-chinese-mining-in-markham-detained-05102010222012.html
<チベット自治区党書記の張慶黎はマルカムの鉱山開発に抗議するチベット人に対し、5000人もの軍隊を送り込む>
現地マルカムから直接RFAに電話で伝えられた情報によれば、マルカムのツァンチュ地区の3か所で政府商工会議所が行なっている鉱山開発に対し、これを中止させるためチベット人数千人が平和的抗議活動をおこなった。
鉱山に立てこもっていた、チベット人を強制的に排除しようとした軍隊との衝突により、チベット人5人が病院に運び込まれ、7人が逮捕された。
この件で逮捕された(と思われる)チベット人はこれだけではなく、ラサの商工会議所に陳情に行った者5人、成都に陳情に行った者8人も、どこかに連行され、現在行方不明となっている。
今回新しく投入された5000人を加え、マルカムには現在1万人とも言われる軍隊が駐留され、市民を震え上がらせている。
「この件に関しては2009年、マルカムの住民は鉱山開発に反対し、ラサで弁護士を立て、政府と交渉した。
その結果、地区の鉱山開発は中止され、住民には保証金が支払われることになり一旦解決した。
しかし、今年になり政府は再び開発を始めたので、このような事態に至ったのだ」、と現地の人は説明する。
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キグドに内地から投入した軍隊、武装警官、救助隊の数も確か1万人強。
鉱山開発を巡るトラブルごときに、高地順応完了の1万人を投入するなら、なんでキグドにそんなのをすぐに2万人送らなかったかね。
今、マルカムにはマルカムのチベット人人口を越える軍隊が駐留していることになる。
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この鉱山開発を巡る現地住民とのトラブルはここだけに限らず、最近キグドに近い三河源と呼ばれる黄河、揚子江、メコン河の源流地区の鉱山開発を巡っても、起こっている。
http://www.rfa.org/english/news/tibet/sacred-05072010114842.html
2003年に始まった地区の鉱山開発の公害により、すでに沢山の奇形児も生まれているという。
この地区の人々も中央政府に対し、「この地区が環境保護特別地区であること、すでに公害の被害者が出ていることなど」と訴え、調査を依頼した。
しかし、当局はこれに関しブログ等に発表された、写真や陳情書を閲覧不能にした。
この鉱山は地元の人々が聖山と崇める2つの山に穴をあけている。
また、キグド地震が起こった前の日に大きな縦坑を掘り、その聖山の腹に至った、と現地の人々はいい、これが地震を引き起こしたのだという噂が広まっているという。
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<カム、セルタで僧侶の一人デモ>
5月7日、カム、セルタの小さな僧院に所属するソナム・ドルジェは一人「ダライ・ラマ法王の帰還」「法に基づいた権利」等を求めるパンフレットを配りながら、声を上げた。
逮捕されようとするソナムを周りのチベット人たちが守ろうとしたが、結局、彼はその場で逮捕されたという。
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キグドからは、義援金がちゃんと配られていないと抗議した、チベット人数人が逮捕されたという未確認情報が入っている。
詳しいことが判れば追ってお知らせする。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)