チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年5月9日
慰問金270万元(3716万円!?)、1200人に一時救済金400元
現地は悪天候が続いているそうだ。
でも、火事になるとかで、テントの中で火を焚くことは禁止とか。
火が焚けるヤク・テントが懐かしかろう。
昨日の続き。
RFAを聞いてると、昨日、一昨日 ダラムサラの“玉樹地震慈善基金会”(ウーセルさんの中国語訳/私は最初“ユシュ地震慰安協会”と訳した)で聞いたような話しが出ていた。
昨日、「配給票・住民票」を持ってない人は救済金も食糧も貰えない、という話をした。
配給票のある者には一人当たり「450元」が支給されたと、昨日聞いたが、RFAに話していた人は「400元」と言ってた。
その上、これはキグド町の住民だけに限られ、周辺の村には今後も全く救済金は配られないという。
昨日協会で聞いた情報によれば、震源地から半径50km以内にあった村は、大概破壊され、家は残っているが危険で住めない、人々は自分たちのテントで寝起きし、蓄えのツァンパで生き延びている、という状況がほとんどだ。
キグドにいても、「配給票」を持っていない年寄りとか、「配給票」などガレキの下に埋まって見せることのできない人は貰えないという。
胡錦涛氏はキグドを訪問したとき、「地震で家族を失った遺族への見舞金として8000元(約11万円)、震災孤児や養ってくれる子供を亡くしたお年寄り、重い障害が残る負傷者に対し毎月1000元(約1万3500円)の給付を決めた。」ということはすでにお伝えした。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/2010-04.html?p=2#20100418
これが支給されるとして予算はたったの6億円ほど。
救済金について、中国国際放送局は5月3日に以下のようなレポートを出している。
http://japanese.cri.cn/881/2010/05/03/144s158199.htm
<青海地震>救済金の支給、全面的にスタート2010-05-03 13:42:01
青海地震被災地の被災統計作業がこのほど終了し、現在、救済金の支給が全面的に行われています。
1日までに、青海地震による被災人口は22.3万人に達し、玉樹チベット族自治州総人口の6割以上を占めています。
2日12時現在、民政省は地震で亡くなった人たちの慰問金270万元(約3716万円)、1200人余りの被災地住民に50日間の臨時手当、1.7万人余りの住民に連日0.5キロの食糧を支給しています。(翻訳:ooeieiチェック:丹羽)
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「救済金の支給が全面的に行なわれています」の後に、慰問金270万元(3716万円!?)、、、を支給しています。
と言ってる。
まずこの270万元!?だが、胡錦涛氏の話はどうなったのか?もちろん増えたならいいのだが、その増え方が異常だ。
もしも、これが本当ならこの慰問金だけで予算818億円ということだ。
いくら募金が温泉のように湧いてくると言えども、この数字はおかしいのではないか?
四川地震の被害者はいくらもらったのか知らないが、これほど貰ったとは思えない。知れば怒るであろう。
もっともまだ誰かこんな大金を貰ったという人の話は伝わってこない。
「その次の1200人余りの、、、、臨時手当」というのが、キグドで最近配られたという400~450元の事と思われる。
しかし、何でたったの1200人なのか? 50日後にはどうなるのか?
次、「1.7万人余りの住人に連日0.5キロの食糧を支給しています」
被災者は22.3万人と自分で言っておいて、その中のたった1.7万人にしか、それもたったの1日0.5キロしか与えてない。
そんなことを自慢話でもするように、平然と書いていることが信じられない。
他に、最近当局はもしも被災地のガレキを漁り泥棒するものは、その場で銃殺される、と発表したとか。
このことを伝えたチベット人は「中国の軍隊や救援隊は泥棒し放題で、家財や犬など盗んで行くのに、誰も罰せられない。それで、チベット人が泥棒したら、銃殺だという、、、」と不満をぶつけていた。
アムドやカムの至る所から被災地に寄付金や食料を届けようとトラックがキグドを目指すが、そのほとんどは追い返されているという。
周辺の村々を支えていた僧侶たちも追い出されたそうだ。
その他、子どもが中国に連れて行かれる話、キグドの町全体が移転される話などが出ていた。
遊牧民が強制的に住まわされた家は鉄筋が全く入っていないブロック・ハウスばかりだったという。
そしてテントを追われた多くのチベット人がブロックの下敷きとなり亡くなった。
政府は計算通り、というだけで済ますのか?
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<内部告発>
中国で有名な歴史家が、毛沢東を真っ向から批判する映像講義を行い、波紋を呼んでいる。
「日本は歴史教科書を歪曲しているが、中国ほどではない。中国の歴史教科書の記述内容に、真実は5%もなく、あとは完全な虚構」と主張した、そうだ。
http://www.chosunonline.com/news/20100508000036
http://www.youku.com/playlist_show/id_1807031.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)