チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2010年4月18日

RFAを聞いたり、青海テレビを見ていると、、、

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ジェグンド 地震、ウーセルさんのブログよりRFAを聞いていると、現地からの色んな人の声が聞こえてくる。

ほとんどの人が家族の誰かを失い、5日経った今も、水も食糧もテントもなくただ耐え忍んでいるらしい。
法王がいらっしゃるという噂も広がっている。

青海テレビなどでは、やっと今日から水や食糧が配られるシーンが映されるようになった。
青いテントの数も増えたように見える。
しかし、まだまだ多くの人たちがテントもなく、冷たい風にさらされながら、外で寝起きしている。
もしも、日本人が零下にまで下がる屋外で食糧も水もなくほっておかれたら、3日持つであろうか?チベット人だから生き延びているのだ。
この辺は中国政府の誤算もあるかもしれない?
100時間後に瓦礫の中から這い上がったチベット人もいる。

僧侶以外のチベット人ボランティアも増えたという。中国各地のチベット人学生が大勢きたという。
そんな中、カムからやって来た僧侶は多いが、ウツァンから駆け付けたという僧侶や一般人は非常に少ないという話がでた。
これに応えてウツァンのチベット人は
「ウツァンではテレビで地震のことはほとんど報道されない。犠牲者は数百人だと言って、大した地震じゃないように言ってる。大体、地元のチベット人は中国のテレビを全く信用してない。全部ウソだと知ってる。ほんとのニュースはRFAとVOAだけだと知ってる。
だから、テレビを見ることが嫌いな人も多い。
ラサなんかでは寄付も始まっていると聞くが、全部ヤラセだ。
みんな本当は何が起こったのかよく知らないのだ」と話していた。

私もこのところよく中国のテレビを見ている。
ダラムサラで見ることができるのはラサ・テレビ、四川テレビ、青海テレビということでウツァン、カム、アムドが網羅される。
昨日までは地震関係の特別番組を流すのは青海テレビばかりで、ラサテレビ、四川テレビはニュースの時間にちょっとだけ要人訪問や物資搬送のシーンを流すだけで、驚くほど簡単な扱いだった。
今日になり、ラサ、四川も急に特別番組風に長く報じている。
昨日、胡錦涛主席が現地視察に訪れたからに違いない。
うまいことに、今日から食糧配給のシーンを流すことができる。
遠い立派な病院に収容され篤い手当をうけるチベット人たちも沢山撮れる。
後は、列をなして透明な募金箱に現金を入れるチベット人を映して終わりだ。

ほぼ、ほったらかしにされた最初の三日の間に瓦礫の下に死ぬ者は死に。
政府にとってもう事は終わったのだ。

胡錦涛主席の現地訪問に合わせ、
「地元の青海省政府は地震で家族を失った遺族への見舞金として8000元(約11万円)、震災孤児や養ってくれる子供を亡くしたお年寄り、重い障害が残る負傷者に対し毎月1000元(約1万3500円)の給付を決めた。」という。

もちろん、見舞金や給付金は被災者にとっては有難いことであろう。

ただ、この金額が多いのか、少な過ぎるのか?とすぐに計算してしまう。
遺族の数を2000人として見舞金の総額は2億2千万円。
給付金の対象を3000人として1年にこちらは4億500万円。
何年間給付されるのかは分からない。
足してこの1年に6億ほどの予算が必要になる。

一方、外国からいくら政府に支援金が入るのか?
日本からだけでも、日本政府が1億円、民間から約1億円が送られる。
世界各国合わせて10億円を下ることはない。

その上、儀式と化したチベット圏を中心にした中国内での猛烈な寄付金集めの上がりは誰が管理するのか知らないが、表向きは政府の金のはずだ。
この額は半端じゃないと思われる。
テレビの下の欄には地方政府、団体、会社などから続々数百万円の寄付が寄せられていることが表示されて行く。

つまり、政府の懐は痛むどころか黒字間違いなしというわけだ。

どちらにせよ、10億単位の話であり、政府にとってはまるで問題にならない小さな話なのだ。

それより、大事なのは共産党の宣伝効果だ。

実際中国のテレビを見ていると、慣れないうちは本気に吐き気を催すことがある。
あまりに人をばかにした安普請なやらせドラマばかりだ。
うそだ、ただの宣伝だと自分でいってるようなニュースばかりだ。
チベット人が見たくないというのもよく解る。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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