チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年4月14日
ジェクンド大地震
本日、朝7時49分、ジェクンド(キグド 玉樹)で発生した大地震の被害者は現在400人、負傷者1万人と発表されています。
目撃者によれば死者は3000人以上という。
ジェクンドの街の人口は3万人、周辺を含めた人口は8万人。
その85%はチベット人だ。
街の建物の80~90%が倒壊したと報告されている。
今もまだ瓦礫の下に大勢の人々が取り残されていることであろう。
中国のニュースでは救援隊が働いているシーンばかり流していますが、
その人数はまだごく限られているようだ。
BBCで現地と連絡を取ったチベット人の話が流された。
その人は「家族の家は完全に倒壊した。でも、けが人はいても死んだ者はいないと言ってた。誰も助けに来てくれる者もなく、全てを失って途方にくれているらしい」と話していた。
夜になれば氷点下にまで気温が下がるという。
けがをし生き埋めとなっている人たちを一刻も早く救い出さないと犠牲者は増えるばかりであろう。
ジェクンドは今は青海省に含まれるが、歴史的文化的にはカム地方に含まれる。
この地方のチベット人たちは仏教に熱心なことで有名だ。
文化大革命の時に完全に破壊された寺や僧院もみんなの手で再建され、今ではジェクンド周辺に200の寺や僧院があるという。
特にサキャ派とカギュ派の寺が多いらしい。
僧院の被害も多大であろう。
現在3つの学校が倒壊したと報告されている。チベットでは寄宿舎生活をする生徒が多いので子どもたちも大勢建物の下敷きになったであろう。
数千人が瓦礫の下で呻いている。
一人でも多くの人が救い出されることを祈る。
ダライ・ラマ法王は直ちにジェクンド地震の犠牲者に対し哀悼の意を表するメッセージを発表された。以下、参考程度に訳す。
http://www.dalailama.com/news/post/520-his-holiness-offers-his-condolences-to-the-victims-of-the-earthquake-in-kyigudo
私は、今日の朝、キグド(ジェクンド)を襲った地震により生命と財産が失われたことを深く悲しむ。
我々は、この悲劇により命を失った人びと、その家族、その他の被害者のために祈りを捧げる。
彼らのために特別の祈祷法要がダラムサラのツクラカンで行なわれよう。
被災者のもとに、可能なできるだけの救助の手が差し伸べられるとこを願う。
私自身も今、何ができるかを考えているところだ。
2010年4月14日
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ダラムサラでは今日、夕方から今回の地震の犠牲者を追悼するためのキャンドル・ライト・ビジルが行なわれる。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)