チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年4月10日
マチュ中学校の生徒たちが再び抗議デモ/マチュの小学校教師が突然逮捕
<アムド、マチュで中学生たちが二度目の平和的抗議活動を行う>
パユル、ダラムサラ、4月8日付によれば、
http://phayul.com/news/article.aspx?id=27072&article=Machu+Tibetan+Middle+School+students+stage+second+peaceful+protest
甘粛省マチュ中学校の生徒たちは、4月3日午後3時頃、再び中国政府の制圧に対する平和的抗議デモを決行した。
この情報は現地と連絡のあるマチュ出身の亡命チベット人研究員ドルカ・キャップが明らかにしたものである。
デモは先月、この学校の校長と助手2人を当局が解雇処分にしたことに抗議するものだという。
この学校の校長キャプチェン・デドルと彼の2人の助手であるド・レとチュキョン・ツェテンは、3月14日に生徒たちが行なったデモの責任を取らされ、解雇された。
(左写真はド・レ)
キャップによれば、チュキョン・ツェテンは公安事務所に連行された後、密かにどこかに
移動させられ、現在行方不明だという。
デモに先立ち、マチュ中学校の生徒たちは県の中国人担当官に、この解雇された3人の教師を復職させてほしいという嘆願書を提出した。
その嘆願書には「もしも、この願いが聞き入れられない場合には、さらなるデモも行なわれるであろう」と書かれていたという。
キャップによれば、今回のデモはこの嘆願書を当局が無視し続けたからだという。
このチベット人中学校には1500人の生徒がいる。
今回の2度目のデモを含めこのところ甘粛省のチベット人学校では連続的にデモが発生している。
今回のデモの後、生徒や教師が逮捕されたかどうかについては未だ不明だという。
現在当中学は完全に武装警官隊に包囲され、外部との接触は断たれ、連絡を取ることもできず生徒たちは中に閉じ込められたままだという。
当局はマチュに保安部隊を増強し、検問を強化し、移動の制限を厳しくしている。
特に地区の僧・尼僧は厳しい監視下に置かれている。
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同じくキャップ氏からの情報によれば、
<マチュでチベット語教師が逮捕される>
マチュ当局はさらに先月一人のチベット人小学校教師を突然逮捕した。
3月28日、当地の国立小学校のチベット語教師であるトプデンは中国の公安職員により連行されていった。
それ以来、彼の消息は途絶えたままだ。
逮捕の理由も分かっていない。
1971年生まれのトプデンは小学校を終えた後、ニュルラ・ニェントック僧院の僧侶となった。
1999年、中国当局の「愛国再教育キャンペーン」班が当僧院に来て教育を行なった際、彼はダライ・ラマ法王を批判することを拒否したという。
それから一年後、チベット内での宗教弾圧に耐えきれず、彼はインドに亡命する。
亡命後はダラムサラの学校に通っていた。
2006年学校を卒業後、チベットに帰っていたという。
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筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)