チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年4月7日
蘭州、北西民族学院の生徒であり作家でもある二人のチベット人が逮捕
タシ・ラプテン
4月7日付、phayul,com
現地から寄せられた情報によれば、昨日(4月6日)中国当局は蘭州にある北西民族学院のチベット人生徒2人、タシ・ラプテン(ペンネーム:チュラン)とドゥクロ(ペンネーム:ショクジャン)を逮捕した。
大学の学生寮に突然、16人ほどの公安隊が押し寄せ、学生たちの部屋を荒らし回った後、2人を逮捕していったという。
パユルが連絡をとったある学生は、「公安職員は学生たちの携帯電話、パソコン、本を取り上げた。政府によるこのようなプライバシーの侵害にショックを受けた。彼らは部屋に入りベッドや本、引き出しの中をチェックした。勉強の資料までも持って行った」と話した。
タシは2008年の抵抗運動をテーマにし、発禁となった文芸雑誌「シャル・カンリ(東の雪山)」の編集者である。
また「血書」と題された作品集も編集している。
その「恐れを知らぬ」作風が故に彼は2009年7月一度逮捕された。
彼の同僚が昨年伝えたところに依れば「彼はチベットの学生、知識人、一般の読者の間で卓越した、勇敢な青年思想家として絶大な人気と大きな尊敬を得ていた」という。
公安は学生たちに反抗しないようにと脅しをかけたという。
しかし、同じ学生は「もしも政府が、我々の表現の自由、集会の自由、思想の自由を侵害し続けるならば、我々はもちろん抗議する」と語り、
さらに、「蘭州で起こっていることは中国政府が意図的にチベット人大学生や高校生の知的自由を奪い、学業を阻害しようとしていることの明らかな現れだ」とコメントした。
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蘭州の「北西民族学院」といえば、2008年3月16日、大きなバナーを掲げ学内で抗議デモを行なったチベット人が多く通う大学だ。
以下、この大学のことにも言及されている、ウーセルさんの去年の記事。
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51185403.html
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)