チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年1月15日
検閲拒否のグーグル、勇敢だ…中国の若者ら「支持」
【北京=関泰晴】インターネット検索世界最大手・米グーグル社による検閲受け入れ拒否が、中国のネット利用者の間で大きな反響を呼んでいる。
同社の中国版サイトは14日、これまで見られなかった民主化運動に関する写真や文章などの検索制限を解除し、ネットにはこれを「支持」する書き込みがあふれた。
「谷歌(グーグルの中国名)よ、それでこそ男だ」
ネット上の意見の多くは、巨大市場・中国から撤退してでも、検閲を拒否する方針を打ち出した同社への賛辞だった。「これは中国の言論の自由をめぐる闘いだ」などと、政権批判に踏み込んだ投稿は、当局によって即座に削除されている。
北京のグーグル社事務所前には、大学生ら多数の若者が花束などを置いて応援した。北京の民主活動家の男性(35)は「ビジネスの利益より自由を守ろうと闘うグーグル社は勇敢だ。中国の民主化を進める突破口となってほしい」と期待を寄せた。
一方、「人民日報」が発行する国際問題専門紙「環球時報」などのサイトでは、「中国で事業を行うのであれば、中国の方式に従うべきだ」といった反対意見も見られる。関係者によると、世論誘導を狙う当局が書き込ませたものが多いという。
グーグル社は検閲問題に関し、中国当局と協議する姿勢を見せているが、日程などは未定だ。厳格な情報統制に「ほころび」が生じていることに危機感を強める当局は既に、グーグル社の方針に呼応して活動家が言論活動を活発化させることを警戒し、監視を強化しているという。今後、グーグルのサイトへの接続遮断といった強硬措置に出る恐れも高まっている。
読売新聞 2010年1月15日
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筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)