チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2010年1月7日
ラモ・ツォに電話してみました。
不当にも刑期6年を言い渡されたドゥンドゥップ・ワンチェン氏の妻ラモ・ツォは今、ダライ・ラマ法王の潅頂と教えを得るため、ブッダガヤに家族とともに巡礼に出かけている。
電波の状態がよくなく、雑音が強く、途切れがちだったので結局まともな話はできなかった。
彼女の声は、力なく聞こえたが、それでもいつもの気丈さが感じられるはっきりとした話方だった。
こちらからは、刑期確定を知り残念ではあるが、日本でもできる限り解放運動を続けるし、希望はまだあるのでどうか気落ちしないでほしい、と言うしかなかった。
彼女は「私は大丈夫、ただ長く会えなくなることと、病気が心配だ」と話していた。
以下はITSNのプレスリリースに載っていた昨日ラモ・ツォさんがプレスに語ったという話です。
「私は西寧の裁判所に対し、夫に本人が選択した弁護士を付けることを許可して頂きたい。
私と子どもたちは、かくも長い年月、夫に会うことができなくなることに耐え難さを感じる。
私たちは中国当局に対し、夫を解放することで人間性を示すことを願う。
私の夫は如何なる罪も犯していない。
ただ、真実を示そうとしただけなのだ」
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以下、ITSNからこの件に関するまとめ等。(日本語訳・若松えり様)
ドゥンドゥップ・ワンチェン6年の刑を宣告される
皆様
ドゥンドゥップ・ワンチェンの判決に対し、家族による公式声明が発表されるのを待つ間に、この件に関して最新情報とまとめを送らせていただきます。
現在、以下の緊急アクションに、最新情報を折り込んで、新たに発表する準備が進められています。
www.freetibetanheroes.org (http://org2.democracyinaction.org/o/5380/p/dia/action/public/?action_KEY=1125)
www.tibetnetwork.org (http://org2.democracyinaction.org/o/5380/p/dia/action/public/?action_KEY=1009)
各団体におかれましては、引き続き自国の政府に対して、中国政府に刑と罪状についての確認をとるよう要請してください。
またその際に各自の政府より、ドゥンドゥップ・ワンチェンの刑に対しての遺憾の意と,彼の上訴の権利を支援する内容を発表するよう、働きかけてください。(ドゥンドゥップの家族は上訴に対し弁護士を手配出来るよう望んでいます。)
中国大使館や総領事近辺での抗議行動も各国でお願いします。
画像やプラカードのテンプレはITSNの要ログイン箇所に保管してありますので、ご活用ください。
http://www.tibetnetwork.org/resources-dhondupwangchen
(日本語ではhttp://freetibet.holy.jp/news-action/dhondup_wangchen/から画像やプラカードのテンプレをダウンロード出来ますので,どうぞご活用下さい。注;若松)
最後に、the freetibetanheroesのウェブサイトに皆さまの“支援の声”をメッセージとして残してください。
以下で、すでにポストされたメッセージがご覧頂けます。 http://www.freetibetanheroes.org/gallery/dhondup-wangchen,
http://www.freetibetanheroes.org/gallery/submit-your-words-photos-or-videos
以下は、この件に関する要点を箇条書きにしたものです。ご活用ください。
* チベット人映像作家ドゥンドゥップ・ワンチェンは一般チベット人を五輪、ダライラマや中国の政策についてインタビュー撮影して罪に問われ、6年の刑をいいわたされました。
* 中国はドゥンドゥップ・ワンチェンの宣告について公式に発表していませんが、チベット亡命政府とラジオ フリー アジアの両方で12月28日に刑の宣告があった発表しました。さらに、双方からドゥンドゥップ・ワンチェンが上訴する覚悟である事も報告されました。
* ドゥンドゥップ・ワンチェンあ2008年3月28日に東チベット(青海州)のTongdeで拘束されました。ドゥンドゥップ・ワンチェンは1974年10月17日生まれ青海州Hualong, Haidong出身
* 確認出来ている政府の公式発表によるとドンドゥプ・ワンチェンは2008年7月に”分裂主義を煽動し、窃盗、秘密裏 に購買または入手した情報を不法に国外の組織、施設または人に対して諜報活動を行った”疑いをかけられ、2009年6月に正式に逮捕され
ました。
* 2009年9月に拘束先の西寧市第一拘置所から密かに持ち出された手紙に中で彼は裁判の開始が近づいていることにふれ、こう語っています。
「解放される望みは薄く、今後長期間に渡り獄に留まるであろうと思うとき、
両親に対し、面倒をよく見る、良き息子であることができなかったなあと感じる。
私の裁判はすでに始まっている。
知らせたい良いニュースは何もない。
刑期が何年になるかまだ判らない。」
* ドゥンドゥップ・ワンチェンが僧侶Jigme Gyatsoとともに作成したインタビューの映像は,その後ドキュメンタリー映画として「ジグデル;恐怖を乗り越えて」 “Leaving Fear Behind” (www.leavingfearbehind.com)と名ずけられ中国支配下にあるチベット人の生の声をかいま見ることのできるまれな映像となり、世界30カ国以上で上映され、次のウェブサイトよりインターネット上でも公開されています。http://www.leavingfearbehind.comフィルムは2008年3月初めにチベットから、国外へ秘密に持ち出されました。
* 彼の家族が弁護を依頼した北京のGong Xin (共信法律事務所)のLi Dunyong (李敦勇)弁護士との接見も禁止されており、ドゥンドゥップ・ワンチェンの裁判を傍聴許可を要請した外国政府に対しても、中国政府は拒否をしています。
*ドゥンドゥップ・ワンチェンの健康状態について。
ドゥンドゥップ・ワンチェンはB型肝炎を患っており、尋問の際に課せられた拷問の後遺症と医療処置の受けられていない病状について心配が寄せられています。
*2008年5月に尼僧院で起こった平和的抗議行動に関連した罪で、2009年12月23日には、尊敬されるチベット人高僧プルブ リンポチェPhurbu Rinpocheは8年半の刑を受け、2009年12月25日 には中国の民主化・自由化を求める「 08 憲章」を起草、発起人に名を連ねる中国人作家、活動家の劉暁波(Liu Xiaobo)氏に刑期11年を言い渡す等して、中国は表現の自由に対しゼロトレランス方式を用いて取り締まっています。
* ITSNでは政治囚キャンペーンサイトwww.freetibetanheroes.org
を立ち上げ,その中でドゥンドゥップ・ワンチェンの件に焦点をあてて紹介しています。
彼の釈放を求める署名アクションには世界から何千筆もの署名が集まっています。
* ドゥンドゥップ・ワンチェンとともカメラマンとして活動したラブラン僧院の僧侶ジグメ・. ギャツオJigme Gyatsoは2008年3月23日に逮捕され2008年
10月に仮釈放されるまで、連打や尋問用の椅子に何日間も縛り付けられる、足を縛
られて天井から逆さに吊るされるなどの残酷な拷問を受けました。
その後、彼は2009年3月に再び40日ほど、拘束されています。
Alison Reynoldsより
Executive Director, International Tibet Support Network
alison@tibetnetwork.org
www.tibetnetwork.org
+44 7711 843884
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)