チベットNOW@ルンタ
ダラムサラ通信 by 中原一博
2009年11月16日
オバマ大統領に拍手!
上海でオバマ氏はちゃんと言うべきことをはっきり言ってくれたと思います。
以下、日本メディアの報道をお借りします。
<米大統領、中国に情報自由化促す 学生らと対話集会>
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009111601000691.html
【上海共同】中国訪問中のオバマ米大統領は16日、上海市内で開いた学生らとの対話集会で「情報がより自由に流れれば、より強い社会になる。検閲には反対だ」と述べ、インターネット規制の撤廃や情報公開をより進めることの重要性を訴えた。中国政府に対し、間接的に現状の改善を促した形となった。
オバマ氏はこの後、北京に移動し胡錦濤国家主席との夕食会に出席。
オバマ氏は上海市内の集会で「表現や信教の自由、情報へのアクセス、政治参画は、人種・宗教上の少数派を含むすべての人々に与えられなければならない」と強調し、こうした考えを他国に押しつけることはないとしながらも「普遍的な権利だ」と指摘した。
暴動が起きたチベットや新疆ウイグル両自治区の少数民族問題などには直接触れなかったが、より人権を尊重する開かれた社会を目指すよう、中国側に暗に求めた。訪中した米大統領が演説を行う例はこれまでにもあったが、対話集会の形式をとるのは初めて。
オバマ氏は、大統領として常に批判にさらされるため「情報があまり自由に流れないでほしいと願う時はある」と吐露。だがさまざまな意見が自由に述べられることが「民主主義をより強くし、わたしをよりよい指導者にしてくれる」と強調した。
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この学生との集会は最初アメリカ側が1000人程度の招待学生を想定したが、中国はこれに対し厳選された50人だけにしろと言ってきた。
直前にやっと500人で手が打たれたという。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=25972&article=China+restricts+Obama’s+Q%26A
もう一つアメリカ側からの大事な要求はこの学生との対話集会がライブで国営のCCTVにより全国に流されることだった。
これは実は特別の要求ではなく、1998年、時のアメリカ大統領クリントン氏が北京大学で対話集会を開いたときも、2002年にブッシュ大統領がある大学で講演した時も国営放送がライブで流した。
二人ともちゃんと政治と宗教の自由を訴えたという。
しかし今回はこれを断られた。
これは前任大統領よりオバマ大統領の発言に警戒心を抱いていた証拠ともいえよう。
これで、一旦この集会はほぼ中止という事態に至った。
最後、直前になってやっと双方が歩み寄り、上海地区だけに限ってライブが放映されることと、国営放送のオフィシャル・ウエブ上でライブを流すという条件で決着した。
もっとも実際にはこのウエブ上のライブでは映像はなく、同時字幕が流れただけという。
中国の隠しごとゲーム/茶番劇を見ているが如しです。
オバマ氏が北京に到着する前に直訴の可能性のある者はちゃんと拘束している。
訪問直前の見せしめにウイグル人を9人も処刑し、あくぎな対抗心をあらわにしている。
筆者プロフィール
中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro
1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)