チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年11月16日

バンガロールの野鳥 その二

Pocket

Little brown Dove 27cmLittle brown Dove 27cm
野鳥は引き続き南インドは、バンガロールに建設中の「ダライラマ大学(略称)」の敷地内で撮影したものです。

この小型のハトは現場のいたるところにいました。
ダラムサラ辺りでは見かけないハトです。
グラデがかったすべての色が何とも言いようもなく美しい。
首にはチェスボードデザインの襟巻き。
スタイルも抜群です。
鳥に比べると人間などは裸になるとまるで色気がなく、毛も無く、格好が悪い、立って歩くやせ気味のブタにも似た生物です。
(外観だけを相対的に比較すればの話)

昨日からオバマ大統領の中国訪問が始まりました。
東京訪問中には代表事務所が先導して?オバマ大統領に「(中国に行ったら)人権とチベットの事を忘れないように」と、在日チベット人と日本人サポーター約50人が訴えたことがパユルにも記事になって載っていました。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=25962&article=Japanese+and+Tibetans+Remind+President+Obama+Not+to+Forget+Human+Rights+and+Tibet
この集会に参加された方々ご苦労様でした。

Brahminy Kite 48cmBrahminy Kite 48cm
小型の鳶の一種。上半身が白、下半身と羽根の前方がこげ茶、後ろの方が赤茶色。
この鳶もダラムサラでは見かけないタイプです。

ーーー

オバマ氏の中国訪問を前にして、チベットで新たなデモが発生しないとも限らない、と警戒した中国当局は警備体制を一段と強化しているというニュースが入っています。
http://phayul.com/news/article.aspx?id=25964&article=China+tightens+control+on+Tibetans+ahead+of+Obama+visit

アムド、アバ地区からの情報によれば、いたるところに検問所が新たに設けられ、チベット人は全員身分証明書をチェックされ、また、ネットや電話の監視も強化されているそうです。

Painted Stork  93cmPainted Stork 93cm
この写真だけは現場でなく空港へ行く途中の道路わきの大きな湿地帯で撮ったものです。
ペリカンとも思えた大きなサギが3羽、もう一種の青み掛かったサギが3羽写っています。青い方は判別できません。

ーーー

上のアムドの情報を伝えてくれたのは、ダラムサラのキルティ・ゴンパの僧ツェリンです。彼のところにはアムドにいくつかあるキルティ・ゴンパから情報が集まってくるのです。

今年2月27日、中国政府へ抗議するために焼身自殺を図ったキルティ・ゴンパの僧タペーに関する情報を伝えたもの彼でした。

その後、この僧タペーに関する情報を外国に流したとして僧ジャミヤン・プンツォックが3月3日に逮捕されました。
この時のエントリーは以下
http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51195700.html

ツェリンの元に最近そのジャミヤンの家族の話が伝えられてきたという。

話と言っても、家族は「逮捕以来、今まで何の消息もない。もうほとんど望みもないとだろうと思っている」と悲しい話をしただけとのこと。

White-throated Munia 10cmWhite-throated Munia 10cm
小さなスズメ科と思われる「ムニア」のカップル。
鳥類においては、オス・メスの外観がほぼ同じというカップルほど(案外?)末永く仲良くするそうです。
上嘴だけとほっぺが水色なところが特徴です。

ーーー

鳥社会から見れば人間社会はさぞとんでもない社会でありましょう。
鳥同士が戦争して殺し合ったという話は聞いたことがない。
鳥は特に危険な状況に遭遇しても、いつでもすぐに飛び去ることができるので本気で闘うなどということは鼻から考えない。
遊びに追いかけごっこをするぐらいだ。
もっとも鳥も巣を構えているときには戦いもあり得よう。
でも、あくまで個体レベルの戦いだ。

刑務所もなく、
拷問とかもない。
法律が無くても、家が無くても、身一つでちゃんと生きてる間は、
楽しく元気に過ごす。

Red Munia  Male/Female 10cmRed Munia Male/Female 10cm
同じく小型のスズメ科の「赤ムニア」。
両翼以外真っ赤なのがオス。背中がグレーで胸が白というのがメス。
どちらも羽に白い斑点がある。

ーーー

鳥(動物の代表として)から見れば人間社会は嘘で固めた虚妄の世界。
もちろん、鳥などにも現象を実体視するということは本能的感覚レベルにはあるのですが、人間にはこの本能的感覚レベルの上に概念レベルの嘘が二重に加わります。
この根本レベルの嘘も問題ですが、実際には世間では所謂「世俗レベル」の嘘が問題の元になることが普通です。
仏教では真理を「勝義(究極)の真理」と「世俗(仮)の真理」に分けた後、「世俗の真理」をさらに所謂「本当」と「嘘」に分けます。
この基準は簡単に言えば「実証に耐え得るかどうか」ということです。
基本的に現代の実証科学の考え方と同じで、2000年以上前の先取り。

unknownこの子は現場でしばしば見かけたが図鑑には見当たらない。14cmぐらいの小型で丸っこい黒い鳥。
しっぽを上げて白いバックを見せながら踊ります。
顔や羽に白い小さな斑点があります。

ーーー

世俗レベルでは2008年3月のラサ蜂起で中国が「200人殺した」のに、「20人しか死んでない」というのは嘘です。
他国の領土を新しく「盗った・侵略」したことを「いや、そこは昔から自分の国の一部だった」ということも嘘です。
「リンカーン大統領が黒人を解放した」ように「毛沢東がチベット人を解放した」というのも普通の世界では嘘です。

もっともこれらを当たり前に「嘘」だと常識的に思うのはチベット人や普通の西洋人だが、問題はこれらすべてが普通の中国人には本当だということだ。
そう教えられている。
双方ともに、第三者は自分で事実を調べることが許されていないから、実際には反証は難しい。
しかし、こういう場合は一般に調査を妨害する側が「嘘」を言ってると判断される。

人は知ってる情報を基に行動する。
その情報が嘘か本当かに関わらず。

Bush Lark 15cmBush Lark 15cm
小型のヒバリ。

最近は自分たちの若いころと違って、「何となく人類の明るい未来」が描けるという時代は終ったようだ。
世界終末破壊映画も流行ってるとか。
結局、金を持った人間どもが、辺りかまわず威張って好き放題にしてきた因果が巡って来るという当たり前の状態を全員が味わうというわけだ。
特に貧しい人々からその犠牲となるのは哀れだ。

温暖化問題も中国がこの体制を維持する限り望み薄だ。

今の中国共産党政権はダライ・ラマ法王のアナチャル訪問を許可したインドに対し「1962年の戦争を忘れたのか?本気にやる気か?」とか、アメリカには「リンカーンのお陰で大統領になれたオバマ氏ならチベットが解放されたことを喜ろこばないはずがない」とか平気で言う政権だ。
温暖化どころかもっと熱い戦争だって想定内と思った方がいい。

unknownスパイダーマンのモデルになったという蝶?

無責任に未来予測、特に暗い予測をすることは好きでないが、このまま中国の経済力、軍事力が自然に増大して行けば、直接的脅威のみにとどまらず、その共産党文化とも化した、利己主義、嘘、悪智慧、残虐性等も世界に益々増大していくと考えられる。
もっともこれはこのまま道徳観0、協調性0の独裁圧政政権が続けばという話だ。

オバマ氏は昨日上海で若者との対話集会を開いたはずだ。
アメリカ側が今回特別にリクエストした集会だ。
アメリカは中国のテレビでこれをライブ放送することをリクエストした。
もちろん中国はこれを断った。
そこでアメリカはネット上でこれをライブ公開したという。
私は残念ながら見てないので、何ともいえませんが、まずはオバマ氏が中国の若者に対し何を話したのかが気になる。
オバマ氏だってそこに参加している若者とかはすべて共産党の政治的チェックを受けた者たちであり、質問はすべて共産党の用意したものであることは承知の上であろう。
そんな、劇を強制された若者を前にオバマ氏は何を語ったのか?
見たかった!

現場のトカゲ爬虫類のある者が「空を飛べたらな~~~」と強く思い始め、何百世代もかかってじょじょに翼を獲得し、ある日、本当に空を飛べるようになった。
すべての行動の前には(実体的)意思がある。
意思の前には(実体的)認識がある。
認識の前には(実体的)感覚がある。
感覚は対象の実体視より起こる。

結果実体のない翼によって空性の空を飛べるようになる。

現場の花南インドの花。

ネット上では、中国の学生がオバマ氏に「カルフォルニア州を何時中国に割譲するつもりか?」と聞くなどして遊んでいるようです。
「台湾も、アナチャルももちろんいただく、時期を待ってるだけだ」というのもある。 
中国の世俗には「本気の嘘」とか「嘘の本気」とかいろいろあって何重にもこんがらった得体のしれない言葉が充満しています。

大学の第一期生チュバを着る彼女たちはこの{ダライ・ラマ大学」の第一期生。
一期生は教育学部のみで全部で80人。
内20人が男子とのこと。

ここの生徒は中国の学生に比べればそれはもう自由です。
近々ここを訪問するカルマパに何を質問しようかと、キャアキャアもので相談していました。

バンガロールの街中でバイクに乗る記者二人バンガロールの街中。プレス・バイクに乗る極めたインド人記者二人。
サングラスの二人が記者で、後ろの二人は歩いているイスラム教徒の女性です。
パーセンテージは知らないがとにかくこの辺にはイスラム教徒が多い。
その数は増える傾向にあるという。

ダラムサラでは先週初めから「チベット亡命政府のオフィシャル・テレビ・チャンネル」が開設されました。

連日法王のかつてのティーチングやら記者会見等が流されるので非常に重宝しています。

ダラムサラ・デリー間を飛ぶプロペラ機ダラムサラ・デリー間を飛ぶキングフィッシャー社のプロペラ機。

そのテレビで昨日法王の3月暴動直後の記者会見が流されました。

法王はその中で、いつものことですが、「中国は真実を見ないといけない。真実を基に話合えば、問題は数時間か数日で片付く」とおっしゃっていました。

世俗においてさえ真実を見るということは、これほど難しいということです。
法王はこの原因の始まりは中国地方政府責任者たちの「恐れと不安」からくる虚言癖にあるという。

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

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