チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by 中原一博

2009年10月31日

10月21日に処刑されたチベット人に関するITSNからのプレスリリース

Pocket

以下、イギリスのえり様が翻訳しまとめて下さいました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

報道関係各位

2009年10月31日

問合せ先:ITSN(International Tibet Support Network)

         日本コンタクト:鎌田正樹

                 050-3735-7901 

                E-mail:m-kamata@ja2.so-net.ne.jp

在英日本コンタクト:若松えり TEL:44-7711-746-172 

E-mail: eliwakamatsu@googlemail.com

国際チベット支援団体による共同声明;チベット人処刑を強く非難

報道関係の皆様にはこの処刑を広く一般に報道するとともに、日本政府に対して、国際社会と連携して中国政府に遺憾の意を表明する意思はあるか否かを問いかけてください。

中国政府は、昨年、2008年3月のチベット暴動に於いて、死刑判決が出ていた、Lobsang Gyaltsen と Loyakの2名のチベット人を10月21日処刑しました。また、この件では他に二名(Penkyiという名前の女性と氏名不明1名)が処刑されたという報告がチベットから寄せられています。

中国の司法制度に於ける、透明性と責任所在の欠落、(中国による、チベットに関する)情報閉鎖により、これらの報告の確認は困難を極めています。

世界の166のチベット支援団体で構成するITSN(International Tibet Support Network)は、中国の決定は国際的な司法基準を侮辱するものであり、中国がチベットを支配するにあたって反対の声を挙げる者を徹底的に圧殺し、威圧するために、どのような方法も厭わない姿勢を顕著に表しているとして非難声明を出しました。さらに国際チベット支援ネットワーク参加団体は中国対して以下のことを要求しています。

(1) 2年の執行猶予付きで、すでに死刑を宣告されているTenzin Phuntsok, Kangtsuk とPenkyiの3名の居場所確認を早急に執り行なうこと。チベット人処刑の即時停止し、現在死刑を求刑されているものに対しては即時減刑すること。

(2) 2008年3月と4月の抗議行動以降、消息のわからない1.200人のチベット人の氏名と居場所を明らかにすること。

(3)2008年11月国連拷問禁止委員会の勧告にある”平和的なデモ参加者(特に僧侶に対するものを含む)に対する過度の武力行使について、全面的な独立した調査を行なわなければならない。”に同意すること。

(4)チベット亡命政府との対話を再開し、60年間のチベット支配に対する平和的な解決を協議すること。

The International Tibet Support Network 国際チベット支援ネットワーク参加、166団体は各自の政府に対し、今回の処刑についての抗議の表明と、今後のチベット人の裁判が公開されチベット人被告は独立した弁護人による弁護や、法的配慮が受けられ、大使館員や外国人記者の裁判の傍聴を要請された際には許可するよう中国に対し要求する旨を訴えて行きます。これに基づき、日本国内では、オバマアメリカ合衆国大統領、鳩山日本国総理大臣、ならびに外務省に対して、別紙のような要請文を発表しました。(別紙)

背景

中国の1951年の武力によるチベット併合から60年、ダライ・ラマがインドに亡命する契機となったチベット動乱から50年、北京オリンピックを控えた2008年3月、チベットで僧侶が中心となった中国のチベット支配に抗議する平和的なデモが起こりました。中国当局はこれらの抗議行動を武力で徹底的に弾圧し、チベット人の激しい怒りを買いました。チベットの首都ラサで4日間続いた抗議行動は、やがてチベット各地に広がりました。

この事件で、ロブサン・ギャルツェン、ロヤックの2名は2009年4月8日に死刑の宣告を受けました。二人は”放火致死”の罪に問われ、中国国営通信新華社の報道では、2008年3月14日ラサで7人の中国人が死亡したと報告しました。

先出の新華社の声明では「人々の怒りを緩和するため処刑は免れない」と語っています。中国では、死刑の有罪判決は、最高人民裁判所で刑の執行前に再審される司法手続きの規則がありますが、今回の処刑に際してそのような再審が行われたかは、なんの情報も公開されておらず、詳細は不明のままです。

今回の処刑に対しては、イギリスの外務大臣 Ivan Lewisが、10月23日に国際的な処刑を非難する声明を発表しました。

イギリスの超党派チベット支援議員連盟セクレタリアットPhilippa Carrickからの報告では、イギリス外務省が、同日金曜日に在英中国大使館に問い合わせた所、処刑の事実を認め、Lobsang Gyaltsen と Loyakの二名を処刑したことを確認したとのことです。これを受けて Ivan Lewis外相の声明で、”昨年の動乱に参加した容疑で、現在死刑を宣告 されているものの全ての再調査を緊急に行う要請”をしました。

http://www.fco.gov.uk/en/news/latest-news/?view=News&id=21082898

現在、把握されている政府間の動きとして、イギリス政府が欧州議員と連絡をとり欧州連合共同声明として発表する準備が進んでいます。またイギリスからは、ロンドンの中国大使館と、北京のイギリス大使館を通じて抗議をする予定です。

以下はIvan Lewisイギリス外相の声明内容です。

http://www.fco.gov.uk/en/news/latest-news/view=News&id=21078277

「先日ラサで行われたLobsang Gyaltsen氏と Loyak氏、両名に対する 処刑について強い遺憾の意を表明する。昨年のチベットで起きた、暴力行為を働いたものを裁く中国の権利は認めるが、イギリスはどのような事情であろうとも死刑に対し反対を唱える。また今回の件については、適当な司法配慮に欠けていることに対し、継続的に懸念を表明してきた。

9月のチベット訪問の際にも、これらの件について強い懸念を表明し、当局に対し死刑執行を取りやめるよう要請した。欧州議会を通しても同様の懸念が中国に対し上げられている。(イギリスは)中国に対し、昨年の動乱に参加した容疑で、現在死刑を宣告されているもの全ての再調査を緊急に行う要請をする。」

備考

The International TIbet Support Network国際チベット支援ネットワーク http://www.tibetnetwork.org は、世界のチベット支援団体166を繋ぐ総括団体です。ネットワークは、60年前に中国によって占領され、失われたチベット人の権利を取り戻すため非暴力に基づいて運動を展開しています。国際チベット支援ネットワーク は個々の団体の活動を支援し、チベット支援運動全体にとってより有効的な力となるよう組織的戦略を、チベットの人々のために展開して行きます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日の東京代表部事務所のホームページには亡命政府がまとめた最新版の「チベットにおける人権の現状レポート」が翻訳掲載されています。
是非ご覧ください。

両方とも活用お願いします。

http://www.tibethouse.jp/human_rights/human_rights2009.html

筆者プロフィール

中原 一博
NAKAHARA Kazuhiro

1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家。大学在学中、インド北部ラダック地方のチベット様式建築を研究したことがきっかけになり、インド・ダラムサラのチベット亡命政府より建築設計を依頼される。1985年よりダラムサラ在住。これまでに手掛けた建築は、亡命政府国際関係省、TCV難民学校ホール(1,500人収容)、チベット伝統工芸センターノルブリンカといった代表作のほか、小中学校、寄宿舎、寺、ストゥーパなど多数。(写真:野田雅也撮影)

ちべろぐ

Archives

  • 2018年3月 (3)
  • 2017年12月 (2)
  • 2017年11月 (1)
  • 2017年7月 (2)
  • 2017年5月 (4)
  • 2017年4月 (1)
  • 2017年3月 (1)
  • 2016年12月 (2)
  • 2016年7月 (1)
  • 2016年6月 (1)
  • 2016年5月 (9)
  • 2016年3月 (1)
  • 2015年11月 (1)
  • 2015年10月 (2)
  • 2015年9月 (4)
  • 2015年8月 (2)
  • 2015年7月 (14)
  • 2015年6月 (2)
  • 2015年5月 (4)
  • 2015年4月 (5)
  • 2015年3月 (5)
  • 2015年2月 (2)
  • 2015年1月 (2)
  • 2014年12月 (12)
  • 2014年11月 (5)
  • 2014年10月 (10)
  • 2014年9月 (10)
  • 2014年8月 (3)
  • 2014年7月 (9)
  • 2014年6月 (11)
  • 2014年5月 (7)
  • 2014年4月 (21)
  • 2014年3月 (21)
  • 2014年2月 (18)
  • 2014年1月 (18)
  • 2013年12月 (20)
  • 2013年11月 (18)
  • 2013年10月 (26)
  • 2013年9月 (20)
  • 2013年8月 (17)
  • 2013年7月 (29)
  • 2013年6月 (29)
  • 2013年5月 (29)
  • 2013年4月 (29)
  • 2013年3月 (33)
  • 2013年2月 (30)
  • 2013年1月 (28)
  • 2012年12月 (37)
  • 2012年11月 (48)
  • 2012年10月 (32)
  • 2012年9月 (30)
  • 2012年8月 (38)
  • 2012年7月 (26)
  • 2012年6月 (27)
  • 2012年5月 (18)
  • 2012年4月 (28)
  • 2012年3月 (40)
  • 2012年2月 (35)
  • 2012年1月 (34)
  • 2011年12月 (24)
  • 2011年11月 (34)
  • 2011年10月 (32)
  • 2011年9月 (30)
  • 2011年8月 (31)
  • 2011年7月 (22)
  • 2011年6月 (28)
  • 2011年5月 (30)
  • 2011年4月 (27)
  • 2011年3月 (31)
  • 2011年2月 (29)
  • 2011年1月 (27)
  • 2010年12月 (26)
  • 2010年11月 (22)
  • 2010年10月 (37)
  • 2010年9月 (21)
  • 2010年8月 (23)
  • 2010年7月 (27)
  • 2010年6月 (24)
  • 2010年5月 (44)
  • 2010年4月 (34)
  • 2010年3月 (25)
  • 2010年2月 (5)
  • 2010年1月 (20)
  • 2009年12月 (25)
  • 2009年11月 (23)
  • 2009年10月 (35)
  • 2009年9月 (32)
  • 2009年8月 (26)
  • 2009年7月 (26)
  • 2009年6月 (19)
  • 2009年5月 (54)
  • 2009年4月 (52)
  • 2009年3月 (42)
  • 2009年2月 (14)
  • 2009年1月 (26)
  • 2008年12月 (33)
  • 2008年11月 (31)
  • 2008年10月 (25)
  • 2008年9月 (24)
  • 2008年8月 (24)
  • 2008年7月 (36)
  • 2008年6月 (59)
  • 2008年5月 (77)
  • 2008年4月 (59)
  • 2008年3月 (12)